The Journal of Antibiotics, Series B
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抗癌物質Screeningに対するin vitro Contact testの応用第3報
基質を用いないT. T. C. 染色法
菊地 浩松沢 誠
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1955 年 8 巻 6 号 p. 233-236

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抄録

抗癌物質Screeningの1方法として, 従来から被検液と癌細胞との試験管内混和後移植試験が用いられているが, その方法は動物移植後効果判定までには相当の日時を要する。従がつて, 動物を使用せずに試験管内のみで短時間の内に効果判定のできる方法がのぞまれる。吾々は第1報1) に述べたように, SCHREK等の提唱したUnstained cellcount methodの変法としてエオジン染色法 (エオジン法と略) を, 第2報2) に報告したように, コハク酸脱水素酵素によるT. T. C. 染色法 (コT. T. C. 法と略) を考案し, 両法を数種の既知抗癌物質について試用し, ほぼ試験管内混和後移植試験と一致することを知り, 且つコT. T. C. 法がエオジン法よりも優れた方法であることを認めた。しかし, 生きている組織や細胞では, 基質を用いなくとも, T. T. C. 溶液中に浸す蒔は, T. T. C. は細胞内の酵素 (主に脱水素酵素) によつて還元着色することが知られており, 御園生等3) は癌細胞中には正常細胞中よりFormazan顆粒が多数出現し, 両者の間に差異を認めうる点から, 比較的高濃度 (0.5~1%) のT. T. C. 生理食塩水溶液と膣分泌物とを載物硝子上で混和し, 37℃20分の染色で癌の診断をおこなつている。基質を用いない時のT. T. C. の還元着色はDPN (Diphosphopyridine Nucleotid) チトクロムC還元酵素によつておこることがDAVIS4)等によつて知られるに至つた。
吾々も基質を用いずにTetrazoliurn染色によつて抗癌物質Screeningに応用できる方法を得たいと考え, T. T. C. 生理食塩水溶液と生理食塩水浮游癌細胞を用い, 実験をおこなつた結果, 見るべき成績を得たので, ここに報告する次第である。

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