The Journal of Antibiotics, Series B
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抗菌性物質の併用に関する研究VI
Neomycin, Chloramphenicolの併用について
小林 裕
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1955 年 8 巻 6 号 p. 237-239

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抄録

前報1)-5) において, 主として抗菌力の増減という面から見た2薬剤の併用効果と, 併用による耐性獲得抑制効果との間に, 相関関係が存在するかどうか, したがつて協同作用あるいは拮抗作用があるということから, その2薬剤を併用した場合の耐性獲得抑制効果を類推しうるかどうかを中心として, 2薬剤の併用効果を検討したが, この両者の間には相関関係が成立しないことを述べた。
岩田等6) は赤痢菌のSulfathiazole耐性獲得防止に関して,組合わせる薬剤に対する耐性獲得の遅速とは, 必ずしも関係しないと述べ, 内藤7) は耐性獲得態度の異なる薬剤の組合わせが耐性獲得防止に有効であると述べている。私のstreptomycinとguanofuracin, streptomycinとchloramphenicolを組合わせた成績1) 3) では, むしろguanofuracinのほうに赤痢菌が耐性となりにくいと思われるにもかかわらず, streptomycinに対する耐性獲得防止に関しでは, chloramphenicolのほうが有効であつた。このように2種の薬剤を併用する場合, 殊に等量混合すれば, いくばくかの耐性獲得防止効果のあることは確実であるが, 一般的にいかなる薬剤の併用が有効であり, いかなるものが無効であるかを推論する根拠はいまだ充分とは言いがたい。
ここで細菌を中心とした2種の薬剤間の関係としてもつとも問題となるのは, 交叉耐性及びSZYBALSKY等8) のいわゆるcollateral sensitivityであつて, このような現象と耐性獲得防止効果との間になんらかの相関関係が成立するかどうかが問題となる。私はstreptomycinとguanofuracinの併用1) 2) でこの点にふれたのであるが, 更に赤痢菌, サルモネラ, 大腸菌のneomycin耐性株は原株に較べてchloramphenicol感受性が敏感になるものが多い9)ことを認めたので, neomycinとchloramphenicolの組合わせについて再検討をおこなつた。

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