The Journal of Antibiotics, Series B
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抗菌性物質の併用に関する研究VIII
赤痢菌に対するChloramphenicol, Oxytetracyclineの併用について
小林 裕
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1955 年 8 巻 7 号 p. 283-285

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抄録
前報1) においては, streptomycinとfradiomycin (neomycin) を併用すると, streptomycinに対する赤痢菌, 大腸菌の耐性獲得はneomycinによつてよく抑制されるが, neomycinに対する耐性獲得はstreptomycinによつては殆んど抑制できないことを述べた。この成績はneomycinとstreptomycinの間に不完全交叉耐性がある2) 3)という事実から, もつともよく説明され, したがつて交叉耐性のある場合は耐性獲得を防止できないということを意味すると一応考えられる。しかし, このような現象の存在しないguanofuracin4) 5) やchloramphenicol6) に対しても, streptomycinの耐性獲得抑制効果は著明なものではなかつたので, 前報1) の成績のみをもつて, 交叉耐性のある場合は耐性獲得を抑制できないということは, 理論的には充分考えられるにしても, 断定を下すのはいささか危険であるとも言える。
赤痢菌, 大腸菌において, chlortetracycline, chloramphenicol, oxytetracyclineの3者間に交叉耐性の存在することについては多くの報告2) 7) 8) 9) がある。しかし, これらの報告では, 継代終了時のかなり高度の耐性を獲得した株について, 交叉耐性を検討している場合が多く, 耐性獲得の程度の低い場合に, どの程度交叉耐性が成立するかについては詳しくないし, 菌株によつて交叉耐性の程度に差があるので, 私はchloramphenicolとoxytetracyclineの組合わせを用い, この点を詳しく調べるとともに, その併用による耐性獲得抑制効果と比較検討した。
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