The Journal of Antibiotics, Series B
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悪性腫瘍化学療法の実験的研究 第5報
各系腹水腫瘍に対するActinomycin Jの抑制効果について
大星 章一青木 一夫桜庭 司石倉 豊生吉田 忠佐藤 政雄関 一夫
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1956 年 9 巻 4 号 p. 141-147

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抄録

Actinomycinは1940年WAKSMANによつて発見された抗生物質で, その組織細胞障碍性は発見当初から注目されていたが, 強い毒性のために治療薬としては顧られないで捨てられていた。 六城等 (1) は, 1949年Actinornycinの吉田肉腫に対する抑制効果を認めたが, 強い毒性のためにその後の研究は継続されなかつた。 この物質が抗癌剤として注目されるようになつたのは, 1953年HACKMANN (2) によつて数種の動物腫瘍に対する抑制効果が明らかにされ, 次いでSCHULTE (3) によつて臨牀試験がおこなわれHODGKIN氏病に特効的なことが確認されてからである。この研究は, Actinomycinのみならず, 抗腫瘍性物質を広く放線菌代謝物質中に求めようとする積極的な研究の緒となり, その後Sarkomycin, Carzinophilin, Azaserine, Puromycin等が続いて発見されるに到つた。 HACKMANNのActinomycinは, BROCKMANN (4) の研究によつてWAKSMANのActinomycin Aとは多少その組成を異にすることが明らかにされ, Actinomycin Cと命名されている。最近, 梅沢・西堀等 (5) はStreptomyces flaveolusの生産するActinomycinを分離し, その性質に既知のActinomycin A, B, Cとは多少異なる点を認めてActinomycinJと命名し, 動物の移植腫瘍に対して, その耐容量において抗腫瘍性を示すことを認めた。 我々 (6) は, 抗癌剤の抗腫瘍スペクトラムに関する研究の一環として, 先にSarkomycinの抗腫瘍性について報告し, 前報においてActinomycinJの抗腫瘍作用機転について検討したが, 今回は各種腹水腫瘍に対する本物質の治療効果について報告する。

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