The Journal of Antibiotics, Series B
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9 巻, 4 号
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  • 各系腹水腫瘍に対するActinomycin Jの抑制効果について
    大星 章一, 青木 一夫, 桜庭 司, 石倉 豊生, 吉田 忠, 佐藤 政雄, 関 一夫
    1956 年 9 巻 4 号 p. 141-147
    発行日: 1956/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Actinomycinは1940年WAKSMANによつて発見された抗生物質で, その組織細胞障碍性は発見当初から注目されていたが, 強い毒性のために治療薬としては顧られないで捨てられていた。 六城等 (1) は, 1949年Actinornycinの吉田肉腫に対する抑制効果を認めたが, 強い毒性のためにその後の研究は継続されなかつた。 この物質が抗癌剤として注目されるようになつたのは, 1953年HACKMANN (2) によつて数種の動物腫瘍に対する抑制効果が明らかにされ, 次いでSCHULTE (3) によつて臨牀試験がおこなわれHODGKIN氏病に特効的なことが確認されてからである。この研究は, Actinomycinのみならず, 抗腫瘍性物質を広く放線菌代謝物質中に求めようとする積極的な研究の緒となり, その後Sarkomycin, Carzinophilin, Azaserine, Puromycin等が続いて発見されるに到つた。 HACKMANNのActinomycinは, BROCKMANN (4) の研究によつてWAKSMANのActinomycin Aとは多少その組成を異にすることが明らかにされ, Actinomycin Cと命名されている。最近, 梅沢・西堀等 (5) はStreptomyces flaveolusの生産するActinomycinを分離し, その性質に既知のActinomycin A, B, Cとは多少異なる点を認めてActinomycinJと命名し, 動物の移植腫瘍に対して, その耐容量において抗腫瘍性を示すことを認めた。 我々 (6) は, 抗癌剤の抗腫瘍スペクトラムに関する研究の一環として, 先にSarkomycinの抗腫瘍性について報告し, 前報においてActinomycinJの抗腫瘍作用機転について検討したが, 今回は各種腹水腫瘍に対する本物質の治療効果について報告する。
  • Sarkomycinの研究 その4 Sarkomyginしから得たS1およびS3の細菌学的検討
    立岡 末雄, 三宅 彰, 和田 正三, 岩崎 英介, 緒方 浩一, 浜田 義雄, 五十嵐 政二
    1956 年 9 巻 4 号 p. 148-152
    発行日: 1956/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    先に著者ら (1) によつてFig. 1のような過程で粗Sarkomycin Na塩から得られた結晶E1, E2, S1, S2およびS3のうち, E1, E2およびS2はEHRLICH腹水癌に対して抑制力が極めて弱いか, または抑制力を有しないので, これらはSarkomycinの抗腫瘍性を代表するものとはいえない。 それならば, S1またはS3がSarkomycinの腹水癌抑制力の主体をなすものかどうか, すなわちSarkomycinの純結晶と見られるべきか否かについて, 今回は細菌学的に検討を加えた。 その結果, S1とS3は細菌学的には極めて類似しており (後に(2)S3はS1と細菌学的にinactiveなS2の分子化合物であることが明らかにされた), かつ両物質ともそのままの形で粗Sarkomycin Na塩中に存在するものではなく, 抽出の過程, 特にH2Sを通ずることによつて化学的に変化したものであろうという結論に達したので, ここに報告する。
  • Sarkomycinの研究その5 S1, S2の化学的研究
    立岡 末雄, 三宅 彰, 和田 正三, 岩崎 英介, 緒方 浩一
    1956 年 9 巻 4 号 p. 153-156
    発行日: 1956/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    SarkomycinのCu-錯塩を硫化水素で処理して得られたS1 (C14H18O6S2), S2 (C14H18O6S) をラネーニッケルによる脱硫反応に付し, 主成分として双方から同一の無色板状晶, C7H10O3, m.p.36゜, bp1120゜, [α] 15D+64゜(c, 1水) を得た。 本品の構造を〓と推定し, さかのぼつてS1, S2に対しておのおの〓を提出した。
  • Sarkomycinの研究 その6 イオン交換樹脂法によるSarkomycinの精製とその化学的研究
    立岡 末雄, 三宅 彰, 井上 道隆, 和田 正三, 岩崎 英介, 緒方 浩一
    1956 年 9 巻 4 号 p. 157-159
    発行日: 1956/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前報 (5) で報告したSarkomycinの銅錯塩水溶液から, 陽イオン交換樹脂, または酸性で溶媒によつて銅イオンを除去すると, 原料に較べて力価が3~4倍濃縮されたoilが得られた。このoilをパラジウム炭末で接触還元すると, bp2130~132°, m.p.98~99°の酸C7H10O3が得られる。本品が前報 (4) で報告したS1(C14H18O6S2) ならびにS2(C14H18O6S) から脱硫によつて得られた酸に一致したことから, Sarkomycinに〓という部分構造式を与えた。
  • 染色によるIn Vitro Testの応用について
    原田 雄二郎, 久保 重夫
    1956 年 9 巻 4 号 p. 160-167
    発行日: 1956/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗癌物質のScreeningの方法は, 今までに多数報告され, その内容も多種多様である。また, これらのScreeningによつて発見された放線菌の産生する抗癌物質は, 既にSarkomycin, Carzinophilin, Actinomycin, Azaserine, 289物質, Puromycin, Ganncidin, E-150物質, Mitomycin, Gannmycin, Carzinocidin, 等が報告され, その多くは, 抗菌力をもつものであつた。ところが最近報告されたGannmycin, Carzinocidin等は全く抗菌力をもたず, 菌力のない抗癌物質の探索もまた必要になつて来た。しかし, これらの物質の抽出精製に従来のin vivotestを用いていたのでは, 非常に時日も要し, また, 多数の動物を飼育しなければならないなどの難点がある。そこで我々は, 最も簡便な方法として, 先に, SCHREK1) や菊地等2) によつて始められた, エオジン色素に対する細胞の生死に基づく選択的な不透過性を利用したUnstained cell count method (エオジン染色法) を取り上げ, 菊地等2) によつて簡便化されたこの方法を更に簡便化すると共に, 数種の既知物質を用いた試験によつて, そのCytocidal actionに対する動きも検討し, また従来のin vivotestや, 細谷等のNINOMI's methodとも比較し, 実際にも, 放線菌の数十種のtype cultureや, 我々の分離した放線菌についても同方法の適用を試み, いささかの知見を得たので, ここに報告する次第である。
  • 束村 道雄
    1956 年 9 巻 4 号 p. 168-169
    発行日: 1956/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    君野 (1) はMycobacterium aviumにおけるsulfathiazole (ST) 耐性株をstreptomycin (SM) を含む培地中に継代培養する時, 感性株に比較してSM耐性が出現しにくいと報告した。 後述するように, この方法ではなお生菌数の差を除外しなければならないが, この実験はST耐性とSM耐性の間になんらか特別な関係がある可能性を暗示した. 次いで, 束村, 鈴木, 君野 (2) はM. aviumにおけるSM耐性がsulfonamidesによつて阻止されることを報告した。その中で, SMの微量とST1mcgの共存のもとに生育したpopulation中のSM耐性菌出現率が, 同量のSMのみの中に生育したpopulation中のSM耐性菌出現率より少ないことを観察して, SMとSTの間に特殊な交互作用が存することを想像した。次いで東村 (3) は, ST耐性菌の継代培養法による耐性出現のscreening testsをおこなつて, ST耐性菌の中から (ST 10mcg共存のもとで) 容易にINAH耐性菌を分離できるのにたいして, SM耐性菌を分離しにくいことを観察した。 そして次に(4), ST耐性株におけるSM耐性菌出現率とINAH耐性菌出現率とを測定して, ST耐性株におけるINAH耐性菌出現率が感性株 (原株) のそれと等しいのにたいして, SM耐性菌出現率は感性株のそれより著明に低いことを見出して,M. aviumにおけるSM耐生とST耐性の特殊な関係の存在を確証した。従がつてここに, この事実の逆, すなわちSM耐性株におけるST耐性菌出現率が感性株または。INAH耐性株のそれより低いかどうかが問頭となる。そこで, これらの諸株からST耐性菌出現率を測定しようと試みたが, 別報するように, STの抗菌作用の特殊性から, 一定量以上の生菌をSTを含有する平板培地に接種すると, 感性菌でも平板上に発育して (恐らくSTの作用にlag phaseが存するため), ST耐性菌出現率の測定は不可能であつた。従がつて, 次善の方法として継代培養法による耐性出現曲線を観察したところ, 期待の結果を得た。
  • 須貝 哲郎
    1956 年 9 巻 4 号 p. 170-179
    発行日: 1956/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    WAKSMANが放線菌からStreptothricin1) およびStreptomycin2) を単離して以来, このStreplomycin-streptothricin群と総称される抗生物質は, 現在までにかなり多数報告されている。 更にNeomycin3)が単離され, 他方, 抗生物質に関する研究が発展するにつれて, この抗生物質群を塩基性水溶性抗生物質として総称する傾向になつてきた。 著者らも先にこの群に属する3種の抗生物質について報告したが4), ここにはS. lavendulae群5) に属するNo.229株から単離した229物質および229B物質について, また放線菌229株の菌学的諸性状を報告する.
    229物質はかなり低い毒性と抗酸性菌に対するかなり強い増殖阻止力のために, その臨床的使用の可能性も考えられていたが, 遷延性毒力を有する物質229B物質の生産のために, 工業的生産並びに臨床的応用を断念したものである。
  • SarkomycinのPaperchromatographyについて. I
    古武 彌久, 若沢 正, 図司 昭治
    1956 年 9 巻 4 号 p. 180-183
    発行日: 1956/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Sarkomycinの抗癌性と抗菌性とは比例すると考えられているが(1), それに対する結論は該物質が結晶として分離されて初めて得られるであろうことは当然であるとされている(2)。 実際はSarkomycinを自家検定すると, 製造番号によつて或る程度純度の振れがあり, 抗癌性と抗菌性とは必ずしも並行しない例もある。 抗菌性とAnthrone値の変動から考えても, いわゆるSarkomycinには数種の物質が混合していることが想像される。 梅沢等 (3) は, Sarkomycin生産菌は1種以上の抗菌性物質を生産し, その中の1つがSarkomycinであろうと述べた。 著者等は, 各製造Batchごとに得られたSarkomycinについてPaperchromatographyを実施し,M. pyogenesvar.aureus209 Pに対する抗菌性と抗癌性の関係を追求した。
  • ザルコマイシン醗酵液酸性劃分の成分について
    原 毅, 山田 久樹, 井田 計治, 山田 雄次郎
    1956 年 9 巻 4 号 p. 184-188
    発行日: 1956/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    梅沢浜夫等は,S. erythrochromogenes類似の1菌株の醗酵液がラッテの吉田肉腫に対し阻害作用を示し, マウスのEHRLICH腹水癌に対して治療効果を示すことを発見し, この醗酵液からブタノール等で酸性劃分を抽出し, その中に有効成分が濃縮されることを認め, これをSarkomycinと命名した (1, 2, 3, 4)。
    その後, 石山等によつてその臨床結果が報告 (5) され, その治療効果および毒性の少いことが注目された。我々は文献に従がい醗酵液から酸性下で溶媒によつて抽出した酸性劃分について実験をおこない, 有効成分と共に種々の酸性物質が共存することを認め, それらを単離する目的で酸性劃分の結晶化, 減圧蒸溜および分劃中和抽出等を試み, 2~3の物質を確認したので, ここに報告する。 なお, これらを除いた有効成分劃分は, 大部分未知の酸性物質として結晶することを認めたが, それには生理作用は失われていた。
  • 吉永 直胤, 赤木 正信, 緒方 和郎, 田村 清人, 小林 新次郎
    1956 年 9 巻 4 号 p. 189-193
    発行日: 1956/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍についての研究は古くからおこなわれ, その病因の追究と共に, 治療への不断の努力が払われている。 1951年梅沢はStreptomyces erythrochromogens KRAINSKYの培養液からEHRLICH癌に抑制効果のある酸性物質を抽出し, これをSarkomycinと命名し, その臨床効果は石山等によつて認められた。 悪性腫瘍根治への決定的な方途のない今日, この種の抗腫瘍性抗生物質の与える反響は大きく, その将来に期待が寄せられている。
    我々は本剤を使用し, その臨床効果および人体に及ぼす影響を検討する機会を与えられ, 些かの知見を得たので報告する。
  • 1956 年 9 巻 4 号 p. 194-202
    発行日: 1956/07/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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