1956 年 9 巻 4 号 p. 184-188
梅沢浜夫等は,S. erythrochromogenes類似の1菌株の醗酵液がラッテの吉田肉腫に対し阻害作用を示し, マウスのEHRLICH腹水癌に対して治療効果を示すことを発見し, この醗酵液からブタノール等で酸性劃分を抽出し, その中に有効成分が濃縮されることを認め, これをSarkomycinと命名した (1, 2, 3, 4)。
その後, 石山等によつてその臨床結果が報告 (5) され, その治療効果および毒性の少いことが注目された。我々は文献に従がい醗酵液から酸性下で溶媒によつて抽出した酸性劃分について実験をおこない, 有効成分と共に種々の酸性物質が共存することを認め, それらを単離する目的で酸性劃分の結晶化, 減圧蒸溜および分劃中和抽出等を試み, 2~3の物質を確認したので, ここに報告する。 なお, これらを除いた有効成分劃分は, 大部分未知の酸性物質として結晶することを認めたが, それには生理作用は失われていた。