悪性腫瘍についての研究は古くからおこなわれ, その病因の追究と共に, 治療への不断の努力が払われている。 1951年梅沢はStreptomyces erythrochromogens KRAINSKYの培養液からEHRLICH癌に抑制効果のある酸性物質を抽出し, これをSarkomycinと命名し, その臨床効果は石山等によつて認められた。 悪性腫瘍根治への決定的な方途のない今日, この種の抗腫瘍性抗生物質の与える反響は大きく, その将来に期待が寄せられている。
我々は本剤を使用し, その臨床効果および人体に及ぼす影響を検討する機会を与えられ, 些かの知見を得たので報告する。