The Journal of Antibiotics, Series B
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化膿性疾患から分離した葡萄球菌の各種抗生物質に対する感受性について
大久保 滉星崎 東明玉井 昌士森本 義男
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1956 年 9 巻 5 号 p. 227-231

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抄録

近年, 抗生物質治療において問題となつているものの1つに, 耐性菌の出現がある。その中でも, 結核菌, 赤痢菌を除いては, 葡萄球菌 (以下葡菌) の各種抗生物質に対する耐性が問題となつている。すなわち, 葡菌のPenicillinに対する耐性が, 年々増加の一途にあることは, 既に各方面から注目されている. SPINK等 (1, 2, 3, 4) は, Penicillin耐性葡菌は, 1942年に既に12%存在し, その後年々増加して, 1949年から1951年には, 約50%の耐性菌がみられたと報告し, BARBER等 (5) は, Penicillin耐性葡菌が1946年には14%であつたが, 1947年には38%に, 1948年には59%に増加したと報告し, MARTYN (6) は, 1949年に, 1才以下の小児の糞便, 鼻腔, 咽頭より分離した葡菌130株につきしらべ, その50~58%がPenicillin耐性であつたと報告し, FINLAND等 (7) は, Boston市立病院では, 1946年以前には全株Penicillin感受性菌であつたが, 3~4年後には耐性菌が増加して, 1952年頃には分離菌の1/4が耐性となり, 1954年には来院患者の半数以上が耐性であつたと報告している。我国においても, Penicillin耐性葡菌が増加していることは, 近年諸家によつて報告されている。
このように, Penicillin耐性葡菌は年々増加の傾向にあるが, その他の抗生物質に対しても, 耐性を漸次獲得するおそれがある。そこで我々は, 各種化膿性疾患患者から葡菌を分離し, それの各抗生物質に対する感受性を検査し, 耐性菌の分布をしらべてみたので, 以下その成績を報告する。

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