The Journal of Antibiotics, Series B
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抗生物質VIOLACETINの試験管内, 生体内作用について 第2報
森田 吉郎
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1956 年 9 巻 5 号 p. 238-242

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抄録

前報1) において著者はViolacetin塩酸塩について, 検定法, 単位, 細菌, かび, 酵母, 放線菌に対する試験管内作用, 化学薬剤, 血清の抗菌作用に及ぼす影響, 安定度の研究をおこない, 併わせて, その作用様式を追求した結果を報告した。その後Violacetinは各種誘導体2) の作製がおこなわれ, その物理化学的性質が検討された結果, 1952年FINLAY, SOBINによつて報告された抗生物質Netropsin3) に極めて類似した物質か, 或いは同一物質と推定されるに至つた。いずれにしろ, これらの物質は, 病原菌, 非病原菌を問わず, 好気性, 嫌気性の多数の菌種に広く有効であり, 更にかび, 酵母, 大型ヴィールスの範囲まで有効である極めて興味ある物質である。著者は引きつづき, このViolacetinのin vitro,in vivoの作用を追求して来たが, 今回は各菌種のViolacetinに対する耐性の獲得状況, 各種の代表的な抗生物質との交叉耐性に関する実験をおこない, また生体内作用として, Violacetinの純粋な塩酸塩を用いて, 吸収, 排泄, 感染防禦実験について更に詳細な研究をおこない, 2, 3の知見を得たので報告する。

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