The Journal of Antibiotics, Series B
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諸種Candidaの発育, 毒力ならびに抗Candida剤に関する研究 第3篇
Candida剤, 特にTrichomycinに関する実験的研究
玉井 昌士
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1956 年 9 巻 6 号 p. 265-271

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抄録

Candida症は病原真菌の1種であるCandida albicansによつて起る真菌性疾患で, 主として小児および老人の鷲口瘡として知られていたが1), 近年になつて抗生物質剤の使用が盛んになるにつれて, 交代菌現象, 耐性菌の問題と共に本症の増加が注目されるに到つた2) 3) 4)。しかし, 本症の治療法に関しては, 決定的な方法ならびに薬剤がなく, ただ僅かにヨード剤の内服, 色素剤, 水銀製剤および免疫血清4) 5) が試みられている現状であるるが, いずれも決定的とはいい難い。
最近に至つて, オーレオスライシン6), クロミン7), トリコマイシ8)等の抗徽性抗生物質が発見されたが, 毒性その他の点から, 僅かにトリコマイシン (以下Tm) が内用および外用されているのに過ぎない。Tmは細谷等8) 9)(1952年) によつて, 八丈島土壌中のStreptomyces haohigoensisから分離された抗徽性抗生物質で, 本症の治療に対して希望を与えた。
余は大久保, 古川, 藤本等の創案による帯培養法10) 11) を用い,Candidaを試験菌として既知薬剤ならびにTmのCandida発育阻止作用を検し, またTmの定量法に関する諸条件を検して臓器別分布を測定し, 更に色素剤およびTmについてCandida albicans感染防禦実験をおこなつたので, その成績を報告する。

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