The Journal of Antibiotics, Series B
Online ISSN : 2186-5469
Print ISSN : 0447-8991
ISSN-L : 0447-8991
諸種抗生物質の臓器別分布と胆汁内排泄態度に関する研究 第1編
諸種抗生物質の臓器別分布に関する研究
藤本 安男
著者情報
ジャーナル フリー

1956 年 9 巻 6 号 p. 272-276

詳細
抄録

ペニシリンの発見以来, 相次いで現われた抗生吻質は, 既に広く臨床的に応用されているもののみでも10指に余り, 人類を脅かし続けて来た感染症の大多数はこれらによつて治癒させ得るようになつた。諸種感染症に抗生物質を応用するに際し, 多数の抗生物質中から何を選択するかということに当面する時, その選択の方法としては, 第1に試験管内の実験成績から, 対象となる病原体に最も有効なものを選ぶという方針がとられる。しかし, 今一つ問題となるのは, 投与された抗生物質がどのような速度で, どのような程度に吸収され, またどのような濃度で病原体の潜む病巣に作用するかという問題である。この問題を検討するには, 投与後の血液, その他の体液中の濃度を測定するのみでなく, 更に進んで臓器内の濃度を直接測定する必要がある。血液, その他の体液中の濃度については既に各抗生物質について多数の報告があり, 臓器内濃度についても, ペニシリンでは, 斎藤1), 小島2), 佐々木等3), 花田4), 西原5), 松本等6), SCHWARTZ等7)の報告があり, レオシリンでは, 操等16), 上田等17)の報告があり, ストレプトマイシンでは小林8), 水野等9), 西原6), 高橋10), 小嶋等2), BAGGENSTOSS等11) の報告があるが, その他の抗生物質については未だ直接臓器内濃度を測定した報告は少く, クロールテトラサイクリンについてはHERRE肌等2), クロランフエニコールについてはGLAZKO等13), エリスロマイシンについては操等4), LEE等15), カーボマイシンについてはENGLISH等19)の報告をみるに過ぎない。しかし, これらの報告は互いに実験方法を異にするので, その結果を比較することができず, 特に諸種抗生物質の体内における態度の相違を検討するには, 同じ実験方法で系統的におこなわなければならない。そこで余は, 次の8種の抗生物質について, 投与後の白鼠の血中ならびに諸臓器内の濃度を測定し, 比較検討したので, その成績を報告する。
1. Penicillin PC
2. Benzylpenicillin β-diethylaminoethylester hydroiodide (Leocillin) LC
3. Dihydrostreptomycin SM
4. Chlortetracycline (Aureomycin) AM
5. Oxytetracycline (Terramycin) TM
6. Chloramphenicol (Chloromycetin) CM
7. Erythromycin (Ilotycin) EM
8. Carbomycin (Magnamycin) MM

著者関連情報
© 公益財団法人日本感染症医薬品協会
前の記事 次の記事
feedback
Top