The Journal of Antibiotics, Series B
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9 巻, 6 号
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  • Candida剤, 特にTrichomycinに関する実験的研究
    玉井 昌士
    1956 年 9 巻 6 号 p. 265-271
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Candida症は病原真菌の1種であるCandida albicansによつて起る真菌性疾患で, 主として小児および老人の鷲口瘡として知られていたが1), 近年になつて抗生物質剤の使用が盛んになるにつれて, 交代菌現象, 耐性菌の問題と共に本症の増加が注目されるに到つた2) 3) 4)。しかし, 本症の治療法に関しては, 決定的な方法ならびに薬剤がなく, ただ僅かにヨード剤の内服, 色素剤, 水銀製剤および免疫血清4) 5) が試みられている現状であるるが, いずれも決定的とはいい難い。
    最近に至つて, オーレオスライシン6), クロミン7), トリコマイシ8)等の抗徽性抗生物質が発見されたが, 毒性その他の点から, 僅かにトリコマイシン (以下Tm) が内用および外用されているのに過ぎない。Tmは細谷等8) 9)(1952年) によつて, 八丈島土壌中のStreptomyces haohigoensisから分離された抗徽性抗生物質で, 本症の治療に対して希望を与えた。
    余は大久保, 古川, 藤本等の創案による帯培養法10) 11) を用い,Candidaを試験菌として既知薬剤ならびにTmのCandida発育阻止作用を検し, またTmの定量法に関する諸条件を検して臓器別分布を測定し, 更に色素剤およびTmについてCandida albicans感染防禦実験をおこなつたので, その成績を報告する。
  • 諸種抗生物質の臓器別分布に関する研究
    藤本 安男
    1956 年 9 巻 6 号 p. 272-276
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ペニシリンの発見以来, 相次いで現われた抗生吻質は, 既に広く臨床的に応用されているもののみでも10指に余り, 人類を脅かし続けて来た感染症の大多数はこれらによつて治癒させ得るようになつた。諸種感染症に抗生物質を応用するに際し, 多数の抗生物質中から何を選択するかということに当面する時, その選択の方法としては, 第1に試験管内の実験成績から, 対象となる病原体に最も有効なものを選ぶという方針がとられる。しかし, 今一つ問題となるのは, 投与された抗生物質がどのような速度で, どのような程度に吸収され, またどのような濃度で病原体の潜む病巣に作用するかという問題である。この問題を検討するには, 投与後の血液, その他の体液中の濃度を測定するのみでなく, 更に進んで臓器内の濃度を直接測定する必要がある。血液, その他の体液中の濃度については既に各抗生物質について多数の報告があり, 臓器内濃度についても, ペニシリンでは, 斎藤1), 小島2), 佐々木等3), 花田4), 西原5), 松本等6), SCHWARTZ等7)の報告があり, レオシリンでは, 操等16), 上田等17)の報告があり, ストレプトマイシンでは小林8), 水野等9), 西原6), 高橋10), 小嶋等2), BAGGENSTOSS等11) の報告があるが, その他の抗生物質については未だ直接臓器内濃度を測定した報告は少く, クロールテトラサイクリンについてはHERRE肌等2), クロランフエニコールについてはGLAZKO等13), エリスロマイシンについては操等4), LEE等15), カーボマイシンについてはENGLISH等19)の報告をみるに過ぎない。しかし, これらの報告は互いに実験方法を異にするので, その結果を比較することができず, 特に諸種抗生物質の体内における態度の相違を検討するには, 同じ実験方法で系統的におこなわなければならない。そこで余は, 次の8種の抗生物質について, 投与後の白鼠の血中ならびに諸臓器内の濃度を測定し, 比較検討したので, その成績を報告する。
    1. Penicillin PC
    2. Benzylpenicillin β-diethylaminoethylester hydroiodide (Leocillin) LC
    3. Dihydrostreptomycin SM
    4. Chlortetracycline (Aureomycin) AM
    5. Oxytetracycline (Terramycin) TM
    6. Chloramphenicol (Chloromycetin) CM
    7. Erythromycin (Ilotycin) EM
    8. Carbomycin (Magnamycin) MM
  • 諸種抗生物質の胆汁内排泄態度に関する研究 I 健康家兎における胆汁内排泄
    藤本 安男
    1956 年 9 巻 6 号 p. 277-282
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質の胆汁内排泄に関する動物実験は花田1), 斎藤2) がペニシリンについて報告しており, 水田3) はペニシリンおよびストレプトマイシンについて実験報告している。GRUHZIT4) 等は犬を用いてクロランフェニコルについて, ENGLISH等6) は家兎でカルボマイシンについて報告している。しかし, その他の抗生物質については, 未だ詳細な報告に接していない。著者は家兎を用い, 次述の8種の抗生物質の胆汁内排泄について実験し, いささか知見を得たので, その成績を述べる。
    使用した抗生物質は次のとおりで, 以下略号で記載する。
    ペニシリンG (PC) オキシテトラサイクリン (TM) エリスロマイシン (EM)
    ストレプトマイシン (SM) テトラサイクリン (TC) カルボマイシン (MM)
    クロールテトラサイクリン (AM) クロランフェニコール (CM)
  • 諸種抗生物質の胆汁内排泄態度に関する研究 II ヒァルロニダーゼ, デヒドロコール酸ソーダ併用時及び肝障害家兎における胆汁内排泄
    藤本 安男
    1956 年 9 巻 6 号 p. 283-288
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    著者は, 健常無処置の家兎における抗生物質の胆汁内排泄態度が, 諸種の薬剤や処置によつてどのような影響を受けるかを知るため, 更に以下の実験をおこなつた。
  • 諸種抗生物質の胆汁内排泄態度に関する研究 III 人体における胆汁内排泄
    藤本 安男
    1956 年 9 巻 6 号 p. 289-293
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    人体に於ける抗生物質の胆汁内排泄に関しては, 福島1), 大森2)がPenicilljn (PC) はこついて, 石山2), 白羽4), 小野5)およびHEILMAN等10)がErythromycin (EM) について報告している。また, ZASLOW等6), 7)はPC, Streptomycin (SM), Chlortetracycline (AM) はこついて肝胆汁, 胆嚢内胆汁にわけて詳細な報告をしている。著者も本実験には, 胆汁撰の患者を用いることが理想的であると考えたが, 適当な例が得られず, 大部分は十二指腸ゾンデを用いて実験した。
  • 三浦 幸二, 林 光男
    1956 年 9 巻 6 号 p. 294-296
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Isonicotinic acid hydrazide (以下INAHと記載) 耐性菌の耐性度について, PANSY等1) はB. C. G. において耐性復帰をみとめており, SZYBALSKI等2) はM. ranaeにこおいて, 耐性株よりも感性株が速く発育することによって逆変異を示すが, これをもつて, 直ちにin vivoで逆変異するとはいえぬといっている。これに反し, FISHER3) は耐性度の消失, 低下を見ないとしている。宝来4), 上島5), 石川6) は耐性復帰をみとめ, 佐藤7), 8) は患者排出喀痰について, INAH耐性度に対する検討をおこない, 更に継代培養による変動をみ, 5代継代でpopulationに変化はなく, 完全にINAH耐性を保持したといつている。なお, 患者から分離したINAH耐性菌では, INAHを加えない小川培地に継代すると, その耐性菌のpopulationに大きな変動をみとめたといっている。更に佐藤9) は, INAH感性および耐性結核菌を人工的に混合したpopulationの動態を観察し, 混含populationに分布する耐性菌の比率は一定の割合で減少していくのをみとめた。
    著暑10) は, INAH 10mcg/ml耐性菌をINAHを含有する培地と含有しない培地に, それぞれ8代継代し, またINAH 100mcg/ml耐性菌をINAHを含有する培地及びINAHを含有しない培地に4代継代しても, population構成は変らなかった。しかし, 耐性菌数の生菌数に対する百分率の動揺をみとめたが, これはINAH耐性菌は本来の性質として, 不安定で, INAH耐性菌のpopulationを構成する1部分の個々の菌の耐性度に不安定がおこつたためと考えている。In vitroの成績を, 直ちにin vivoに適用はできないが, この点を明確にする目的で臨床的観察をおこなつた。
  • 川地 荘兵衛, 山田 久樹, 伊藤 辰男, 安部 政弘
    1956 年 9 巻 6 号 p. 297-302
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ここに示すTetracycline系抗生物質の簡便同定法は, 私共がChlortetracycline (以下CTCと略) とTetracycline (以下TCと略) の混合試料中のTCの単独定量に関する研究をおこなっている際 (未発表), たまたま得られた知見を基礎として考案した方法である.
    新らしく発見された抗生物質が, 既知の抗生物質と同じであるがどうか, ということは, 非常に興味のある問題であるが, これを確めるためには, 非常に多くの実験を必要とする. すなわち, 抗菌スペクトラム, 紫外部, 赤外部の吸収, 旋光度, 結晶形, その他種々の理化学的性質等々である. しかし, たとえば同じTetracycline系の物質であれば, 非常に類似の抗菌スペクトラムを示すと共に, 化学的性質もよく似ているのが普通である.
    私共がおこなった簡便同定法とは, 最も簡単なCup検定によって, 未知の抗生物質が, 既知の抗生物質であるかどうかを推定する方法である. この方法は簡便であるばかりでなく, 厳密におこなえば, 優れた精度で検出し得る特徴がある.
  • 関西支部研究会・臨床部会講演要旨 (1956年6月30日)
    1956 年 9 巻 6 号 p. 303-308
    発行日: 1956/10/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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