The Japanese Journal of Antibiotics
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コリスチン誘導体の研究
第1報N-アルキルおよびN-アルキリデンコリスチンの化学的研究
栗原 藤三郎伊藤 秀雄松尾 勝一鈴木 正義
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1968 年 21 巻 2 号 p. 55-57

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抄録

コリスチンは1946年小山等1) によつて土壌有胞子細菌Bacillus polymyxa colistinusの培養濾液中から発見され允抗生物質で, グラム陰性菌に対して著るしい抗菌作用を示し, とくに近年増加している常用抗生物質耐性赤痢菌および緑膿菌に対して強い抗菌力をもつている。その化学構造は, スレオニン, ロイシン, α・γ-ジアミノ酪酸および1モルの6-メチルオクタン酸を含む環状デカベプタイド化合物である2, 3)。
このうち, 5個のα ・γ-ジアミノ酪酸のγ-アミノ基とスレオニンの遊離水酸基が官能基として考えられ, 栗原・鈴木4, 5) は遊離アミノ基を脱アミノ化したデアミノコリスチンは, グラム陽性菌および陰性菌に対して全く失効し, またコリスチンの硫酸エステルも抗菌力が失われることをみとめている。
そこで, これらの遊離アミノ基をモノアルキル化して, non-polarの有機溶媒への溶解度の増大, すなわち脂溶性を増大させること, および抗菌スベクトラムの拡域化をはかることを目的として本研究をおこない, さらに, 誘導体の変化による薬理作用の変化について検討した。
この報告では, N-アルキルおよびN-アルキリデンコリスチンの合成ならびに確認法および各誘導体の物理化学的性質について報告する。

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