The Japanese Journal of Antibiotics
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21 巻, 2 号
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  • 松岡 正幸, 服部 信之, 石山 哲爾, 浜田 雅, 沢 力, 竹内 富雄, 梅沢 浜夫
    1968 年 21 巻 2 号 p. 49-54
    発行日: 1968/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    カスガマイシンは, 稲のいもち病防除薬剤として実用化されている抗生物質である。この物質は, 化学的方法および微生物を用いた円筒平板法によつて定量されるが, 製剤中の本物質の定量には, 後者の方法がより適切とされている。われわれ1) は以前, いもち菌を用いたpH5.0稲葉煎汁培地による方法およびPsmdomonas tabaoiを用いた葡萄糖・ペプトン培地による方法を報告している。いもち菌による方法は, きわめて低濃度のカスガマイシンを定量することができるが, その測定誤差は小さくはない。また, Psmdomonas tabaciによる方法の定量可能濃度は高く, すべての製剤中のカスガマイシンの定量に用いることはできない。一方, 農林省農薬検査所において分離されたBacillus megaterium segnisを試験菌とする定量法についても種々検討を加えたが, 定量精度の点, 有効成分以外の物質による影響を受け易い点で, 本菌による定量法は満足すべき方法ではなかつた。これらの理由から, さらに高い精度の試験菌の検索がおこなわれた。
    カスガマイシンの抗徽および抗菌作用は, そのスペクトルが示すように, きわめて特徴的であり, Psmdomonasは感受性菌群に属している。そこで, Psmdomonasに属する菌株についてしらべた結果, Pseumdomonas fluoresoensNIHJ B-254株はカスガマイシンの定量に適切な菌株であることを確認した。
    本菌を用いる円筒平板法は,寒天培地として葡萄糖・ペプトン培地 (葡萄糖0.5%, ペプトン0.5%, 寒天1.0~1.5%, pH殺菌後7.0) を用いるとき, カスガマイシンの150mcg/mlおよび300mcg/mlの濃度で変動係数4.0%以下の精度の定量値を与える。その阻止円の境界は, Psmdomonas tabciのばあいより鮮明で, 本法はカスガマイシンの各種製剤の試験法としても適切な方法であるので, ここに報告する。なお, 本報告中のカスガマイシン濃度は, すべてカスガマイシン塩基の濃度で示されている
  • 第1報N-アルキルおよびN-アルキリデンコリスチンの化学的研究
    栗原 藤三郎, 伊藤 秀雄, 松尾 勝一, 鈴木 正義
    1968 年 21 巻 2 号 p. 55-57
    発行日: 1968/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    コリスチンは1946年小山等1) によつて土壌有胞子細菌Bacillus polymyxa colistinusの培養濾液中から発見され允抗生物質で, グラム陰性菌に対して著るしい抗菌作用を示し, とくに近年増加している常用抗生物質耐性赤痢菌および緑膿菌に対して強い抗菌力をもつている。その化学構造は, スレオニン, ロイシン, α・γ-ジアミノ酪酸および1モルの6-メチルオクタン酸を含む環状デカベプタイド化合物である2, 3)。
    このうち, 5個のα ・γ-ジアミノ酪酸のγ-アミノ基とスレオニンの遊離水酸基が官能基として考えられ, 栗原・鈴木4, 5) は遊離アミノ基を脱アミノ化したデアミノコリスチンは, グラム陽性菌および陰性菌に対して全く失効し, またコリスチンの硫酸エステルも抗菌力が失われることをみとめている。
    そこで, これらの遊離アミノ基をモノアルキル化して, non-polarの有機溶媒への溶解度の増大, すなわち脂溶性を増大させること, および抗菌スベクトラムの拡域化をはかることを目的として本研究をおこない, さらに, 誘導体の変化による薬理作用の変化について検討した。
    この報告では, N-アルキルおよびN-アルキリデンコリスチンの合成ならびに確認法および各誘導体の物理化学的性質について報告する。
  • 第2報N-アルキルおよびN-アルキリデンコリスチンの抗菌作用と薬理作用
    栗原 藤三郎, 小山 康夫, 黒沢 秋雄, 松尾 勝一, 鈴木 正義, 松本 朋徳
    1968 年 21 巻 2 号 p. 58-62
    発行日: 1968/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    前報1) において, コリスチンのN-アルキルおよびN-アルキリデン誘導体は, コリスチンとは異なつた物理・化学的性質をもつことを報告し, さらに, コリスチンをモノアルキル化すると, 遊離のγ-アミノ基はすべてモノアルキル化されることが確認された。
    今回は, これらN-アルキルおよびN-アルキリデンコリスチンのmg力価, 抗菌スペクトラムおよび薬理作用, とくに急性毒性, 呼吸および血圧に対する作用について検討したので, その結果を報告する。
  • 第2報とくにDisc法による感受性測定について
    金沢 裕, 倉又 利夫
    1968 年 21 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 1968/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    私ども1) は, さきにMethacycline (MOTCと略) の基礎的臨床的検討として, 抗菌力, 体液中濃度測定法および測定成績ならびに臨床使用経験について報告した。今回は, 臨床検査としてのMOTCの感受性Disc法について検討を加えたので報告する。
  • 中沢 昭三, 金森 政人, 西野 武志, 宮川 和子
    1968 年 21 巻 2 号 p. 68-71
    発行日: 1968/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本論文の要旨は昭和42年10月7日, 札幌 (北海道自治会館) で開かれた第14回日本化学療法学会東日本支部総会と第16回日本伝染病学会東日本地方会総会の合同総会で報告した。
    明治製菓研究所において開発された新合成ペニシリン, Methylthio-bromo-cinnamylpenicillin (以下P-212と略) は, 次のような化学構造を有している。
    分子式: C18H18N2S204Br・Na・H20
    私達は, 今回, この新らしい国産の合成ペニシリンを, 既知合成ペニシリンの1種であるMethylchlorphenylisoxazolylpenicillin (Cloxacillin, MCI-PC) と, 同一条件において諸種細菌学的検討を加えた結果, 2, 3の知見を得たので, その成績について報告する。
  • 中沢 昭三, 横田 芳武, 西 熈雄, 吉田 高子, 吉永 真知子
    1968 年 21 巻 2 号 p. 72-76
    発行日: 1968/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, グラム陰性桿菌のうちで緑膿菌, 変形菌のような, いわゆる弱毒菌感染症の治療が重要な課題となつており, これらに対する有効な化学療法剤が注目されているた。さて, 私どもの教室においては, 第15回日本化学療法学会総会 (名古屋) において緑膿菌の実験的化学療法について報告した。今回は, さらに変形菌に対する多数の抗生物質, 合成化学療法剤の試験管内抗菌力およびマウス実験的感染症に対する治療効果について検討したので, その成績について報告する。
  • 高橋 達夫
    1968 年 21 巻 2 号 p. 77-79
    発行日: 1968/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    minobenzyl penicillin (Cillerarl Japan Bristol Lab.) は, 広範囲スペクトルの新合成ペニシリン, 6 [D (-)-αAminophenyl acetamido] penicillanic acidであり, 従来のペニシリン感受性菌による感染症以外にも広く効果を示し, テトラサイクリン, クロラムフェニコール等の抗生物質の耐性菌にも著効を示すばあいが多い。ことに, 各臓器にも速やかに移行し, 尿中または胆汁中に高濃度に排泄されることから, 今回私は胆嚢炎および胆道系の炎症性疾患にAminobenzyl penicillin (AB-BC) を静注投与し, 従来の治療法よりも著るしい臨床効果を得ることができたので, ここに中間報告をするに至つた
  • 第1報健康人尿における細菌増殖について
    猪狩 淳, 近藤 弘司, 工藤 正十三, 狩野 元成
    1968 年 21 巻 2 号 p. 80-83
    発行日: 1968/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ヒトの尿が細菌発育に適当なものであることは, すでにPASTEUR (1863) が述べており, SHERRINGTON1) も尿は多くの細菌の非常によい培養基であるといつている。尿中で細菌が発育するには, 尿の化学的性状, 物理的性状が細菌発育に適した条件であることはいうまでもない。尿のpH, 滲透圧, 比重と細菌増殖との関係について, すでにいくつかの報告がある2~6) 。
    私どもは, 尿pH, 滲透圧の変化が細菌増殖に及ぼす影響を検討する目的で, 健康人尿に各種細菌の一定数を加え, 培養をおこない, 細菌の増殖状態を観察した。
  • 中沢 昭三, 金森 政人, 堀田 章代, 三好 知子, 目片 勇
    1968 年 21 巻 2 号 p. 84-87
    発行日: 1968/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本論文の要旨は, 昭和42年6月3日, 名古屋市愛知文化講堂における第15回日本化学療法学会総会において報告した。
    緑膿菌感染に有効な化学療法剤として, 初期には抗生物質Colistin (CL), Polymyxin B (PL) の2つが治療に導入されていたが, 近年さらにKasugamycin (KSG), Gentamicin (GNT) と, 続いて新らしい抗生物質が登場してきた。しかし, これら抗緑膿菌性抗生物質の基礎面から評価しようとするばあい, 種々な点で一般細菌と違つた実験方法が必要である。試験管内感受性測定のばあいの菌膜の問題, また感染動物の治療実験のさいの動物の種類による感受性の問題などが挙げられる。今回, 私どもは, このような観点から, これら4種の抗生物質およびParomomycin (Aminosidine) の計5種類 (第1表) について同一条件のもとで基礎的研究をおこない2, 3の知見が得られたので報告する。
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