カスガマイシンは, 稲のいもち病防除薬剤として実用化されている抗生物質である。この物質は, 化学的方法および微生物を用いた円筒平板法によつて定量されるが, 製剤中の本物質の定量には, 後者の方法がより適切とされている。われわれ1) は以前, いもち菌を用いたpH5.0稲葉煎汁培地による方法および
Psmdomonas tabaoiを用いた葡萄糖・ペプトン培地による方法を報告している。いもち菌による方法は, きわめて低濃度のカスガマイシンを定量することができるが, その測定誤差は小さくはない。また,
Psmdomonas tabaciによる方法の定量可能濃度は高く, すべての製剤中のカスガマイシンの定量に用いることはできない。一方, 農林省農薬検査所において分離された
Bacillus megaterium segnisを試験菌とする定量法についても種々検討を加えたが, 定量精度の点, 有効成分以外の物質による影響を受け易い点で, 本菌による定量法は満足すべき方法ではなかつた。これらの理由から, さらに高い精度の試験菌の検索がおこなわれた。
カスガマイシンの抗徽および抗菌作用は, そのスペクトルが示すように, きわめて特徴的であり,
Psmdomonasは感受性菌群に属している。そこで,
Psmdomonasに属する菌株についてしらべた結果,
Pseumdomonas fluoresoensNIHJ B-254株はカスガマイシンの定量に適切な菌株であることを確認した。
本菌を用いる円筒平板法は,寒天培地として葡萄糖・ペプトン培地 (葡萄糖0.5%, ペプトン0.5%, 寒天1.0~1.5%, pH殺菌後7.0) を用いるとき, カスガマイシンの150mcg/mlおよび300mcg/mlの濃度で変動係数4.0%以下の精度の定量値を与える。その阻止円の境界は,
Psmdomonas tabciのばあいより鮮明で, 本法はカスガマイシンの各種製剤の試験法としても適切な方法であるので, ここに報告する。なお, 本報告中のカスガマイシン濃度は, すべてカスガマイシン塩基の濃度で示されている
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