The Japanese Journal of Antibiotics
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産婦人科領域感染症に対するTriple Tetracyclineの臨床応用
高田 道夫森 操七郎佐野 慎一
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1968 年 21 巻 4 号 p. 197-201

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抄録

日常臨床に使用されている抗生物質は, それぞれに特徴をもち, 広領域, 狭領域, 持続型, 非持続型, 毒性の強いもの, 弱いものとさまざまである。近年, これら抗生物質の特徴をいかして, 臨床応用の範囲を拡げようとする目的から2種以上の抗生物質の合剤の開発がさかんにおこなわれている。また, 新らしい抗生物質の発見, 普及と各種感染症起因菌の耐性獲得とは常にうらはらの関係にあり, 合剤開発の試みはこれら耐性菌に対する対策の1方法ともいえる。
Triple Tetracycline (以下TTCと略) は, その目的で作られた薬剤の1つであり1錠300mg中に, Tetracycline hydrochloride (TC) 115.5mg
Chlortetracycline hydrochloride (CTC) 115.5mg
Demethylchlortetracycline hydrochloride (DMCT) 69mg
を含み,その混合比は1:1:0.6の割合である。
これら3抗生物質の配合によりDMCTの強い抗菌力, 長期持続型の特徴が生かされ, 比較的毒性の少ないTC, CTCを配合することによって毒性および副作用の比較的強いDMCTの量が軽減され, それぞれの単独投与よりは臨床の要求に適合したものとなっている。

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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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