The Japanese Journal of Antibiotics
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Cloxacillin-Ampicillin製剤 (Viccillin S ‘Meiji’) の臨床経験
浜田 稔番場 敏行上村 友也森田 穣
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1969 年 22 巻 5 号 p. 352-354

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抄録

FLEMINGのPenicillin発見以来, 数多くの抗生物質が見出されて来たが, このPenicillinを構成する6-Aminopenicillanic acidの分離に成功して以来, 種々の新らしい合しPenicillinが誘導されている。その1つであるMethylchlorophenmlisoxazolyl penicillin (Methocillin S ‘Meiji’) は, 耐酸性, 抗ペニシリナーゼの性質をもち, 近年特に問題となつている耐性ブドウ球菌に対しても強い抗菌力をもつている。また, 他の内服ペニシリンと比較して高い血中濃度を示し, ブドウ球菌, 連鎖球菌, 肺炎球菌, 淋菌等の主としてグラム陽性菌に対し抗菌力をもつ。
近時, グラム陰性菌に対しても抗菌力をもつ合成ペニシリンの研究, 開発がおこなわれ, 他の合成ペニシリンと同様, 6-Aminopenicillanic acidを母核としてAminobenzyl penicillin (Viccillin ‘Meili’) が誘導された。この物質は, ペニシリン系抗生物質としては最初の広範囲抗生物質であり, グラム陽性菌はもちろん, 大腸菌, 変形菌, 赤痢菌などのグラム陰性菌に対しても抗菌力をもつことは大きな特徴といえる。特にグラム陽性菌に対して抗菌力をもつCloxacillinとグラム陰性菌に対しても抗菌力をもつAmpicillinとの配合によるCloxacillin-Ampicillin合剤の登場は, われわれが期待した薬剤の1つであるといえよう。
われわれは, 次のような種々の外科的化膿性疾患をもつ患者に対して, 筋肉内注射, 静脈内注射または経口投与をおこなつた。このうち, 2, 3の興味ある経過を示した患者の臨床経過について報告する。なお, できる限り他の抗生物質との併用, 抗炎症性物質の投与は避けた。

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