1969 年 22 巻 5 号 p. 355-360
最近は新らしい抗生物質の開発や, 既存の抗生物質の新らしい誘導体の合成によつて, 次々特徴的な抗菌力をもつ薬剤が登場し, 感染症の化学療法の進歩に大いに寄与しているが, 広範囲の抗菌スペクトラムをもち, 殺菌的に作用する強力な抗菌力を兼ね備えた理想的な抗生物質はなかなか見出しがたい。そこで, すでに使用されている抗生物質を併用して, それぞれの欠点をおぎない, 抗菌スペクトラムを拡大し, さらに協力作用または相加作用によつて抗菌力の増強をはかろうとする試みがおこなわれ, すでにその他種々の組合わせの合剤が実際に臨床に用いられていることは周知のとおりである。
今回, そのような目的でつくられたAmpicillin (Aminobenzyl penicillin) とCloxacillin (Methylchlorophenylisoxazolyl penicillin) の合剤 (Viccillin S ‘Meiji’) を耳鼻咽喉科領域感染症に臨床応用する機会を得たので, その成績について報告する。