The Japanese Journal of Antibiotics
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外科におけるAminocyclohexyl-penicillin (AC-PC)
石山 俊次坂部 孝古橋 雅一高橋 右一長崎 祥祐川上 郁中山 一誠西岡 伸也岩井 重富岩本 英男大島 聡彦鷹取 睦美川辺 隆道鈴木 邦夫村上 不二哉
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1970 年 23 巻 1 号 p. 76-81

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抄録

Phenoxyethylpenicillin (1959) に始まる合成ペニシリンは, 内服用 (抗酸性), 抗耐性 (抗分解酵素性), 抗酸抗耐性および広域性ペニシリンまで発展した。この広域性ペニシリンに属するAmpicillin (Aminobenzyl penicillin), Hetacillin, Carbenicillinは, それぞれ抗酸性で, 内服, 注射両用に適するが, 抗耐性がない。次に望まれるのは, 広域性で, かつ抗耐性のペニシリンであると, 普遍的に期待されていた。このような状況下で, Wyeth研究陣によつて開発されたAminocyclohexyl penicillin (以下AC-PC) は, その基礎実験によつてAmpicillin (以下AB-PC) と同様に広域性抗菌スベクトルを示し,in vitro抗菌力はグラム陽性菌およびグラム陰性菌ともにAB-PCに劣るが, Penicillin G (以下PC-G) 耐性菌に対してはAB-PCより強く作用するということであつた。このAB-PCより強い抗耐性が, はたして他の抗耐性合成ペニシリンのように, 耐性感染に対する臨床上の意義があるかどうか, あるとすれば合成ペニシリン群の中で, 新らたな進展を意味することになるので, その点を中心に臨床検討を試みることにした。

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