The Japanese Journal of Antibiotics
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泌尿器科領域におけるAminobenzylpenicillin・Methylphenylisoxazolylpenicillin 合剤 (Broadcillin‘Banyu’) の応用
石神 襄次原 信二三田 俊彦
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1970 年 23 巻 2 号 p. 142-147

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抄録

化学療法剤を使用するに当つて, 病原菌を検出し, その感受性にもとついて使用するのが適切な方法であるが, その行程にかなりの時間を要するところから, 菌検出, 感受性の成績が判明するまで広範囲に適応する抗生物質を使用し, 経過を観察するのが常となつている。また近年, 尿路感染症, 術後感染症には, グラム陰性, 陽性の混合感染がかなりみとめられ, 化学療法剤の選定にに頭を悩まし, つい広範囲に適応する抗生物質を使用してしまうばあいが多い。しかし, 現今の抗生物質には耐性菌の増加等で, その効果に疑問を感じるものが多くみとめられる。今回, これらの目的を達する意味で, 万有製薬では, グラム陰・陽性菌のどちらの感染症にも有効であるBroadcillinを開発した。
Broadcillinは名称が示すように, Penicillinaseに対してはResistantであり, グラム陽性菌に対しすぐれた抗菌力をもつOxacillin (MPI-PC) と, グラム陰性菌に対し同様にすぐれた抗菌力をもつAmpicillin (AB-PC) とを等量に混合した合剤で, ほとんどの一般感染症に対して安心して使用できるものとされている。
今回私達は, これを諸種の尿路感染症, 術後感染症に使用し, 臨床的検討を加えることができたので, 同時に検索し得た血中濃度, 抗菌力とを併わせて報告する。

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