The Japanese Journal of Antibiotics
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23 巻, 2 号
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  • 螺良 英郎, 辻本 兵博, 立花 暉夫, 原 正道, 鵜尾 康代, 新中 徹
    1970 年 23 巻 2 号 p. 99-102
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化学療法, とくに抗生物質療法は臨床上, 病原細菌を正しく検出し, その感受性にもとついて使用する抗生物質を選択すべきであることはいうまでもない。 しかし, 実際には菌検出から感受性測定まで時間を要するところから, 臨床的診断に基ずいて抗生物質を選択していることが多い。とくに近年, 慢性消耗性疾患に2次的感染, 混合感染の形で病像の修飾をうけた感染例に遭遇することが多い。 このような感染例では, 菌検出が確定するまで広範囲適応の抗生物質を選ぶか, または広範囲に適応する抗生物質群をの併用することが多い。 後者のばあい, Penicillin (PC) 耐性ブドウ球菌, グラム陰性桿菌の混合感染を考慮に入れての抗生物質療法が望ましい。 このような意味で, OxacillinとAmpicillinとの合剤 (Broadcillin ‘Banyu’) は, 化学療法の実際面を考慮に入れた抗生物質である。 本報では, 呼吸器感染症を主とする20例に, このOxacillin-Ampicillin合剤を用いた成績を報告する。
  • 三木 文雄, 東 朋嗣, 岩崎 峭, 赤尾 満, 尾崎 達郎, 杉山 浩士, 羽田 囘
    1970 年 23 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    OxacillinとAmpicillinの合剤, Broadcillin‘Banyu’を内科系感染症の治療に使用した成績を報告する。
  • 藤本 安男
    1970 年 23 巻 2 号 p. 107-108
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Penicillinase に安定な Oxacillin (MPI-PC) 250mg と Gram 陰性菌にも有効な Ampicillin (AB-PC) 250mg を合剤にした注射剤 Broadcillin ‘Banyu’を使用した。
    本剤の目的であるブドウ球菌をはじめとする球菌とグラム陰性菌の混合感染例, または混合感染の考えられる重症例を対象とした。
  • 中沢 進, 岡 秀, 佐藤 肇, 遠藤 一
    1970 年 23 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新生児および幼若乳児感染症の予後は, 化学療法の普及した現況においても依然として不良であり, 肺炎を含む急性呼吸器感染症の致命率をみても, ここ数年来改善の傾向がみられない。
    この原因には, 生体側の弱抵抗性, 低反応性も介在していることはもちろんであるが, さらに常用抗生剤抵抗性諸菌の感染および至適抗生剤早期投与開始の遅延が大きな原因となつている面が少くない。この時期における感染症起因菌中頻度の高いのは, ブ菌, 次いでグラム陰性桿菌類 (大腸菌属, Pseudomonas, Proteus等) であり, これらの単独または混合感染が証明されることが多い1~3)。したがつて, 以上の菌属に広く感性な抗生剤が発病早期から充分に投与されれば, 予後の改善に役立つことは当然考えられるところである。
    私等は, 最近10年間に5ヵ所の研究機関に収容された未熟児, 新生児肺炎を含む乳児肺炎665例について使用抗生剤と致命率との関係を調査し, 耐性ブ菌用合成 Penicillin (Methylphenylisoxazolyl-Methylchlorophenylisoxazolyl-penicillin (MPI-PC, MCI-PC)), KM 等の充分量が発病初期から使用された群の治療成績は格段に優秀であることを報告しておいたことがあつた4)。 藤井等も類似の成績を報告し, 耐性ブ菌, 耐性グラム陰性桿菌類に感性な抗生剤を発病初期から充分に使用することが緊要であることを注意している5)。
    新生児, 乳児期における外科的感染症や化膿性髄膜炎, 敗血症の起因菌類は, 耐性ブ菌以外にグラム陰性桿菌類が多くなる傾向であるが6, 7), 起因菌の分離証明が必ずしも容易ではなく, 進行の早いこの種の病型では, 起因菌の決定後に治療を開始したのでは, たとえ至適抗生剤を投与しても救命的には遅すぎることが少くない。したがつて, 原因不明の幼若児急性感染症の治療にさいしては, 少しでも早く感性広域抗生剤の充分な投与が予後の改善のために必要になつてくることは当然考えられるところである。
    以上の目的で製作された耐性ブ菌を含む球菌類に抗菌力をもつ MPI-PC と, グラム陰性桿菌類に広い抗菌性をもつ AB-PC との等量合剤 (Broadcillin) は, 現況における幼若児急性感染症の治療剤として原因側からみても好適な性状を備えているものといえるであろう。
    今回, Broadcillin 筋注を主体として幼若児の急性呼吸器感染症を中心に治療し, MPI-PC 単独筋注例と結果と比較してみたので, 今までの概況について報告する。
    今回の治療成績は, 1968年6月から1969年3月末までに当院に来院または入院した年少小児急性感染症例を無作為的に割付け, Broadcillin と MPI-PC 単独治療との比較をおこなつたものである。
  • 小林 祥男, 伊藤 英子, 奥田 六郎, 小林 裕
    1970 年 23 巻 2 号 p. 116-122
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本来, 感染症の化学療法に当つては, 起炎菌を確定し, その感受性を調べた上で, 適正な薬剤を選択するのが定法である。 しかし, 現実には起炎菌の検出が困難な例も少なくはなく, また2種以上の細菌による混合感染のばあいもある。
    小児, 特に未熟児, 新生児, 幼弱乳児においては, 敗血症や髄膜炎のような全身感染症をおこしやすく, しかも経過が早いのが特徴である。このばあい, 一般には起炎菌がグラム陽性菌であることが多いが, たとえば小児の気道感染症の咽頭細菌について調べた成績をみると1), 年少者では必ずしもそうとはいい切れず, 年令を問わずに, 検出された細菌の百分率をみると, ブドウ球菌が圧倒的に多く, 約37%を占め, 以下, インフルエンザ菌, 肺炎球菌, 溶連菌, グラム陰性桿菌の順である。年令別の検出率をみると, インフルエンザ菌, 溶連菌は年令が高くなるほど検出率高くなる傾向を示し, ブドウ球菌, 肺炎球菌では, 年令による差はあまりみとめられないのに対し, グラム陰性桿も菌では年令が小さいほど検出率が高い。また, 各種細菌による全身感染症の年令別分布をみると1, 7), ブドウ球菌, 溶連菌, 肺炎球菌によるものはあまり年令による差をみないが, 大腸菌, 緑膿菌, 変形菌, クレブシエラによるものでは, ほとんどが6ヵ月以下の小児に集中している。 このように, 未熟児, 新生児, 乳児の感染症では, グラム陰性桿菌が起炎菌である可能性が成人, 年長児にくらべて高く, しかも疾病が重篤で経過が早いため, 起炎菌を検出してから薬剤を選択する余裕がないことが多いので, まず第1選択として広域抗生剤を使用し, 起炎菌の決定をまつて適当なものに変更するという手順を踏まざるを得ない。 現在, 広域抗生剤としては, Chloramphenicol (CP), Tetmacycline (TC), Kanamycin (KM), Cephaloridine (CER), Ampicillin (AB-PC) 等があげられるが, CPは未熟児, 新生児ではGray syndromeをおこす可能性があり, また骨髄に対する影響も無視し得ない2) 。 TCは, 乳歯変色, 骨発育障害, 脳圧亢進等乳児に特有の副作用が知られている3, 4) 。KMは, 未熟児, 新生児, 乳児では少いとはいうものの, 聴力障害の危険があり5, 6), しかも溶連菌に対する抗菌力が弱いという欠点がある。 したがつて, さらに強力で副作用の少い広域抗生剤の出現が望まれるわけであるが, DUBOSもその著書 “細菌細胞” で述べているように, グラム陰性菌に有効な抗生剤はなかなか出現し難い。このような理由から, 幼弱小児においては, 溶連菌に対する抗菌力の不足を補うために, KMにPCを併用することがよくおこなわれており, またCERも賞用されている。同様な理由で, 広域ではあるが, 最近増加しているPC耐性ブドウ球菌に弱いAB-PCの欠点を補うため, AB-PCとOxacillin (MPIPCまたはCloxacillin (MCI-PC) の併用が考えられることは当然であろう。 この両者の併用については, 上述以外の効果も検討されているが, まだ充分な結論に達したとはいえないようである。 しかし, 上述の点だけでも, 小児科領域においては有力な1つの武器であろうと考えられる。 一般的にいつて, 合剤には種々の批判があり8), 合剤の安易な濫用はもちろん慎しむべきであるが, 以上の理由からAB-PCとMPI-PCの合剤 (Broadcillin ‘Banyu’) のばあいは, 検討の価値があると考えられたので, 以下の基礎的, 臨床的検討を試みた。
  • 藪内 百治, 中村 修
    1970 年 23 巻 2 号 p. 123-126
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ペニシリンは抗生物質としての重要性が認識されて以来, 大きな治療効果をおさめたが, 次第に耐性菌の出現をみるようになつた。しかし, ペニシリンに異なつた側鎖を導入することによつて, 種々の合成ペニシリンがつくられ, 各々特徴ある抗菌スペクトルを示すことが明らかとなつている。Ampicillin (Aminobenzyl penicillin) は, グラム陽性球菌のほかグラム陰性桿菌に対する抗菌作用をもつており, Oxacillin (Methylphenylisoxazolyl penicillin) は耐性ブドウ球菌, グラム陽性球菌に対して優れた感受性をもつことが知られている。今回OxacillinとAmpicillinの合剤 (B121, Broadcillin ‘Banyu’) 注射薬を使用する機会を得た。
  • 西村 忠史, 小谷 泰, 浅谷 泰規
    1970 年 23 巻 2 号 p. 127-130
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    合成ペニシリンの開発によつて, 細菌感染症の治療も新らしい段階をむかえるようになつた。 特に, 耐性ブドウ球菌感染症に対しては, Penicillinase抵抗性の製剤が次々と出され, Methylphenyl-isoxazolil Penicillin (Oxacillin, MPI-PC) も今日広く使用されている。 しかし, ペニシリンはグラム陰性菌に対しては無効であり, この点の解決に努力がはらわれた。 ところが, Aminobenzil Penicillin (Ampicillin, AB-PC) の発見によつて, グラム陰性, 陽性菌に対する有効性が証明され, 本剤が広域抗生物質として, 合成Penicillinの価値を一層高めるようになつた。 今回, 著者らに提供されたOxacillinとAmpicillinの合剤 (Broadcillin ‘Banyu’) はグラム陽性, 陰性両菌に対する有効性を発揮するようにつくられたものである。 本合剤は, Oxacillin 125mg, Ampicillin 125mg, またはOxacillin250mg, Ampicillin 250mgの配合からなつている。 著者らは, 本剤を小児各種細菌感染症に使用し, 臨床効果を検討したのでその成績をのべる。
  • 美濃 真, 加納 金三郎, 樋上 忍
    1970 年 23 巻 2 号 p. 131-133
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児, とくに乳児の細菌感染症は, しばしば経過が迅速であり, 病原菌の検索に先き立つての抗生剤の使生用が緊急のばあいが多い。 したがつて, 耐性ブ菌およびグラム陰性桿菌を考慮に入れられた広範囲適応のPenicillin (PC) 剤の合剤, Ampicillin-Oxacillin (Broadcillin ‘Banyu’) を小児感染症に使用し, その治療にPC合剤の意義を求めた。
  • 酒井 克治, 長久 雅博, 中尾 純一
    1970 年 23 巻 2 号 p. 134-135
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新らしく開発されたアミノベンジルペニシリンナトリウム (AB-PC) とメチルフェニルイソキサゾリルペニシリンナトリウム (MCI-PC) との合剤 (Broadcillin‘Banyu’) を外科的感染症5例に試用してみた。1日投与量は2gで, これを2~4回に分けて静脈内に投与した。投与総量は10~18gである。
    臨床効果を判定するに当つては, 本剤投与期間中に炎症症状が消失, または軽快したもの, または創中から菌が消失したものを有効と判定した。なお, 投与前および投与終了後には, 血液検査, 肝, 腎機能検査など, 一連の臨床検査をおこなつた。
  • 前川 正信, 甲野 三郎
    1970 年 23 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    われわれは, Oxacillin-Ampicillin (Broadcillin ‘Banyu’) を膀胱炎10例および腎盂腎炎10例の計20例に使用したので, その治療成績を述べる。投与対象は, 大阪市立大学医学部泌尿器科の外来および入院患者で, 投与方法は3例は筋注によつたが, 他の全例では電解液, 糖液およびマンニトール液などとともに点滴静注した。
    効果の判定は, 自覚症状および尿中細菌の消失したものを著効 (廾), 自覚症状および尿中細菌の消失のいずれかをみとめたものを有効 (+), 自覚および他覚的所見の改善のないものを無効 (-) とした。以下, 各症例の経過を簡単に報告する。
  • 石神 襄次, 原 信二, 三田 俊彦
    1970 年 23 巻 2 号 p. 142-147
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    化学療法剤を使用するに当つて, 病原菌を検出し, その感受性にもとついて使用するのが適切な方法であるが, その行程にかなりの時間を要するところから, 菌検出, 感受性の成績が判明するまで広範囲に適応する抗生物質を使用し, 経過を観察するのが常となつている。また近年, 尿路感染症, 術後感染症には, グラム陰性, 陽性の混合感染がかなりみとめられ, 化学療法剤の選定にに頭を悩まし, つい広範囲に適応する抗生物質を使用してしまうばあいが多い。しかし, 現今の抗生物質には耐性菌の増加等で, その効果に疑問を感じるものが多くみとめられる。今回, これらの目的を達する意味で, 万有製薬では, グラム陰・陽性菌のどちらの感染症にも有効であるBroadcillinを開発した。
    Broadcillinは名称が示すように, Penicillinaseに対してはResistantであり, グラム陽性菌に対しすぐれた抗菌力をもつOxacillin (MPI-PC) と, グラム陰性菌に対し同様にすぐれた抗菌力をもつAmpicillin (AB-PC) とを等量に混合した合剤で, ほとんどの一般感染症に対して安心して使用できるものとされている。
    今回私達は, これを諸種の尿路感染症, 術後感染症に使用し, 臨床的検討を加えることができたので, 同時に検索し得た血中濃度, 抗菌力とを併わせて報告する。
  • 高橋 正彦
    1970 年 23 巻 2 号 p. 148-151
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    小児感染症は, 菌の毒力が強くあらわれ, 迅速に全身疾患に発展しやすいので, 病因細菌が検出されるまでの間に, 有効と思われる抗生剤を選択投与しなければならない。Broadcillin ‘Banyu’は, グラム陽性球菌, グラム陰性桿菌に有効なAmpicillin (AB-PC) と耐性ブドウ球菌, グラム陽性球菌に有効なOxacillin (MPI-PC) との合剤で, 広域のスペクトルをもつので, 早期治療の必要な小児には有用な抗生剤であると思われる。
    本剤を1ヵ月から15才までの小児20例に使用した。使用法は100mg/kg/dayを4回にわけて筋肉内に深く注射した。効果は, 使用3~4日で主要症状の消褪, 一般状態の改善の傾向をみとめたものを有効と判定した。
  • 小栗 豊子, 小酒井 望
    1970 年 23 巻 2 号 p. 152-156
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    菌感染症の様相が著るしく変貌して来た今日, いわゆる弱毒菌による感染症に対する関心が高まつている。嫌気性菌症もこのうちの1つであり, 特に無胞子嫌気性菌による感染症が注目されている。そして, 化学療法剤の普及以後の治療面および原因微生物の大きな変貌は, 細菌検査の方法にも少なからぬ影響をおよぼし, 簡単にできる嫌気性培養法の紹介, 従来の輸入品に劣らぬ嫌気性菌の培地が国内で開発される等, 臨床細菌学において嫌気性培養の必要性が大いに強調されている。
    私共は, 1961年から, 各種臨床材料からの嫌気性菌の検出状況ならびに抗生物質感受性を検討し, そのつど報告してきたが1~3), 今回はそれらを総括し, 1961年6月から1968年12月までの約8年間の成績を年度別に集計し, 比較検討した。
  • 小松 信彦, 大久保 幸枝, 菊本 昭一
    1970 年 23 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    担子菌類シメジ科に属するSchizophyllum commune (和名スエヒロタケ) の菌糸体は, その培養液中に粘性の強い多糖類Schizophyllanを産生する。 この物質は, 単純グルカンで, グルコース以外の単糖類は含有しない。 β-(1→3) 結合のグルコースを主鎖とし, β-(1→6) 結合のグルコースを側鎖にもつ多糖類である。 基本構造は, 3分子のβ-(1→3) 結合の直鎖グルコース残基から1分子のβ-(1→6) 側鎖が分岐しているもののポリマーであると推定される。 本物質は, 非特異的な網内系機能増進作用を発揮するとともに, Sarcoma37, Sarcoma180, EHRLICH癌, 吉田肉腫などの皮下腫瘍型にたいして著明なHost-mediated antitumor activityを示すことが小松ら1) によつて見出された。
    Schizophyllanを純品として得るためには, 培地成分の混入をさけるために, 純合成培地で培養生産することが望ましいので, Schizophyllan生産のための栄養要求について実験をおこなつたので, その結果について報告する。
  • 金沢 裕, 倉又 利夫
    1970 年 23 巻 2 号 p. 161-165
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Chloramphenicolの同族体であるThiophenicol 1, 2) について, その基礎的検討としての感受性測定用のディスク法, および少数ではあるが, 臨床的に経験を加えたので報告する。
  • 大田 峻二, 浜上 厖, 寺脇 良郎, 中谷 林太郎
    1970 年 23 巻 2 号 p. 166-170
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Tylosinは, マクロライド系抗生物質であり, おもにグラム陽性菌に対し抗菌力を示す。 最近, 本剤を防腐の目的で食品に添加しようとする試みがなされているが, そこに細菌が増殖するばあい, それはTylosin感性菌が低濃度のTylosinに長時間接触することによつて, しだいに耐性を獲得した結果発育したものか, または元来, Tylosinに非感受性または耐性の菌が発育したものかを検討するために, 本実験をおこなつた。
  • 第1報実験腫瘍に対する効果について
    野宮 文三, 鍵野 慶之輔, 折笠 義則, 藤森 春海
    1970 年 23 巻 2 号 p. 171-180
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Daunomycin (以下, DMと略す) はFarmitalia研究所 (イタリー) において, DI MARCO等1)によつて発見されたStreptomyces peucetfusの産生するPolyoxyanthraquinoneの配糖体に属する抗腫瘍性抗生物質で, その抗腫瘍作用についてはDI MARCOおよびVENDITTI等2) によつて詳細に検討されているが, 今回, われわれもDMについて実験腫瘍を使用して抗腫瘍性を検討し, 2, 3の知見が得られたので報告する。
  • 第2報生体内腹水腫瘍細胞に対する影響について
    野宮 文三, 鍵野 慶之輔, 折笠 義則, 藤森 春海
    1970 年 23 巻 2 号 p. 181-188
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    DIMARCO等1) は, 正常細胞および試験管内培養細胞に対する Daunomycin (以下DMと略) の作用に関して, 次のように述べている。DMによつて著るしい染色体の異常と分裂中の細胞数の減少をみとめ, 核分裂休止期の細胞では, 核クロマチンの変形および仁の形態, 大きさの変化を観察している。さらにに, DMよつて単層培養のHeLa および KB 細胞に著明な増殖抑制をみとめ, 細胞化学所見によつてUNNA PAPPENHEIMによるメチル・ピロニングリーン反応から仁のリボ核酸含有量と僅かではあるが原形質における減少がみとめられ, 蛋白ヒストンに対する ALFERT & GESCHWIND の Fast green 反応から核の染色性が増加したと報告した2)。LUCIANO DORIGOTTIは, DM の HeLa細胞の変性に関して電子顕微鏡レベルでの観察をおこない, DMによる仁の変形過程が著明で, かなり早期にみとめられ, 持続的で, 仁リボゾームが正常の代謝過程に関する変化と本質的に異なるMatrixを含んでおり (作用機転の結論はできないが), 仁の形態が不安定で, 代謝機能の変化に敏感であつたという。このことは, RNA合成に干渉することが示され, 仁消耗はDNA依存RNP合成停止の第1の形態学的変化として説明しうるといい, 特に仁構造については, 仁リボゾームの分離に伴なうNucleonemaの粉砕, および消失の現象が観察されたと報告している3)。MAGLIULOら4) は, 鶏胎仔赤血球形成細胞の増殖力に対するDMの作用について検討し, 核分裂相の出現に対する核分裂, または静止核分裂指数からDMは用量, 作用時間に比例し, 核分裂開始細胞に対する阻害作用があると報告している。さらに, SIMARDら5) は, 諸種の代謝阻害剤の仁に対する作用を系統的におこない, 特に生化学的阻害の程度を明らかにして, DM は DNA-RNA 複製酵素, すなわち, 仁分裂を惹起する代謝阻害剤のグループに属すると報告している。われわれも, これらの興味ある事実にもとついて DM 投与による腹水腫瘍細胞の経時的変化を細胞病理学的に検討し, 2, 3の知見が得られたので報告する。
  • 福島 忠見, 落合 久明, 赤石 強司, 守屋 三恵子
    1970 年 23 巻 2 号 p. 189-194
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近, われわれは米国ブリストル社から Dicloxacillin (わが国商品名: Closil) の小児用懸濁シロップ剤を提供されたので, これを入院患児および外来通院患児, 計50名に1日 12.5~25.0mg/kgの用量で, 毎6時間1日4回, 空腹時に投与し, その臨床的効果を観察した。ただし, Dicloxacillin 内服時における血中濃度の推移, 血中蛋白結合率または尿中排泄速度などの基礎的観察は他の文献にゆずり, われわれは実施しなかつた。
  • 川名 林治, 中村 国雄, 吉田 武志
    1970 年 23 巻 2 号 p. 195-198
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephaiexin (7β-(D-α-Aminophenolacetamido)-3-methylceph-3-em-carboxyiic acid) は, Cephaiosporin Cから分離された7-Aminocephalosporanic acidを母核として合成された新らしいCephalosporin系抗生物質である。
    Cephalexinは, CephalorineおよびCephaiothinと異なり, 内服剤として登場した。Cephalexinは, 内服後速やかに腸管の上部から吸収され, 血中に高濃度のCephalexinが移行するといわれる。一方, 排泄も速く, 内服後数時間以内に, 内服されたCephalexinのほとんどは尿中から排泄されるという。
    Cephalexinの抗菌スペクトラムは, グラム陽性菌および陰性菌に広く抗菌力を発揮し, その作用は殺菌的である。臨床的に, 種々の感染症に応用され, その有効率は80~90%に近いといわれている。
    わたしたちは, Cephalexinの各種細菌に対する感受性試験をこころみたので, その結果についてのべてみたい。また, 最近の一般細菌検査に関する成績についても簡単にまとめてみたい。
  • 辻本 兵博, 伊藤 学
    1970 年 23 巻 2 号 p. 199-202
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin C系の抗生物質が各種感染症に著効を示すことは衆知の事実である。 これら系列の薬剤は, ペニシリン類似の薬剤でありながら, グラム陽性球菌のみならずグラム陰性桿菌にも有効で, 抗菌範囲が広いこと, 生体内で分解されず, 血清蛋白との結合率が低く, 分解されることなく尿中に排泄されること, ブドー球菌産生ペニシリナーゼに耐性であることなどの種々の利点をもつ。 従来, その注射剤のみが臨床に供されていたが, 使用対象が制限され, 不便を感ずることが多かつた。 最近, 内服可能なCephalexin-Glaxoが開発され, その使用の機会をえた。 その結果の成績の概要を報告する。
  • 岩沢 武彦, 木戸 勉
    1970 年 23 巻 2 号 p. 203-212
    発行日: 1970/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科領域の感染症からの分離病原菌は, 近年多数の抗生物質が発見され, 日常臨床に全身的または局所的に大量, 長期間使用する関係上, その副次現象として耐性ブドウ球菌の増多, さらに菌交代現象も関与して, 従来弱毒桿菌と称されていた緑膿菌, 変形菌, クレブシェラなどの一連のグラム陰性桿菌群の出現も, 化学療法上問題視されるにいたつた。したがつて今日,抗生物質研究の主眼は, これら耐性ブドウ球菌またはグラム陰性桿菌に対して強力な抗菌力を発揮し, 耐性獲得が遅く, 有効血中濃度を維持するとともに, 炎症局所組織への移行が良好で, しかも副作用の軽微な新らしい抗生物質の研究開発に集中する傾向にある。
    感染症に対する抗生物質療法は, 実にPenicillinの発見を契機として, 今日までおびただしいまでの各種の抗生物質が実用化され, 感染症治療に著るしい臨床効果をあげてきたが, Dramaticな治療効果の期待しえる抗生物質としては, まずCephalosporineC系のCephaloridine (CER) またはCephalothin (CET) などのすぐれた薬剤をあげるほかなかろう。
    これらCER, CETなどは, すでに注射製剤として強力な抗菌力を示し, 短時間で高い有効血中濃度がえられ, きわめて良好な治療効果をあげてきた。しかし, 従来の合成CephalosporineC系の抗生物質は, 腸管からの吸収が不良であり, 経口投与が不可能とされ, 臨床的投与が容易で, しかも有効血中濃度の維持が可能であるCephalosporine C系誘導体としての経口剤の開発が要望されていた。
    Cephalexin (以下CEXと略記) は, 経口投与によつて腸管から吸収良好な新らしいCephalosporine C系の合成剤として最近開発され, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して殺菌的に作用するBroad spectrum antibioticとして登場し, 感染症治療上にわかに注目を浴びるにいたつた。
    CEXの物理化学的性状は, 白色結晶性の粉末で, 多少の苦味をもち, 粉末状態できわめて安定性は高く, その分子式はC16H17N3O4S, 分子量は347.4とされる。CEXの化学構造式は, 図1に示したように, 7-Aminocephalosporanicacidを母核とするCephalosporine C系の誘導合成剤であることは明らかである。
    CEXの急性毒性は, 経口投与でマウスLD50 3,500mg/kg,ラット75,000mg/kgで, 諸臓器に対する毒性はきわめて低いといわれる。
    CEXの経口製剤 (Cephalexin ‘Lilly’)は, 1ヵプセル中に250mgおよび500mg力価を含有するものがある。
    著者らは, 今回この新規に開発されたCephalosporine C系の経口剤CEXについて, 耳鼻咽喉科領域における基礎的ならびに臨床的に検討した結果, 良好な結果をおさめたので, その成績の概要を報告する。
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