The Japanese Journal of Antibiotics
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硫酸コリスチンの体内分布に関する研究経口投与による鶏および豚体内分布と消長について
佐藤 弘幸大内 勝小海 淳一
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1972 年 25 巻 4 号 p. 239-245

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抄録

コリスチンは, 1950年小山らによって福島県の土壌から分離された好気性胞子形成桿菌, Bacillus Polymyxavar. colistinusの培養液中に産生される塩基性ポリベプチド抗生物質である。本物質は, 他の抗生物質とともに, その強力な抗菌作用がみとめられ, 重要な化学療法剤の1つとして広く使用されている。
硫酸コリスチンは, 動物薬としては, 乳房炎治療薬など外用剤としての用途が主なものであつたが, 最近家畜, 家禽の発育促進, 飼料要求率の向上や疾病予防など, 飼料添加剤への応用2) が注目され, この面の使用量は遂年増加しつつある。一方, 他の抗生物質では, 畜肉への残留および耐性菌出現による人体への影響などが問題となつてきたことから今回, 我々は試験動物として雌鶏と子豚を使用し, これらに硫酸コリスチン (以下CLSと略), を経口投与し, 体内分布を時間を追つて測定し, CLSの残留性についての検討を試みた。CLSに対する耐性菌に関しては, 鈴木ら3) の報告によって, その出現がほとんどみとめられていない。

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