The Japanese Journal of Antibiotics
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スエヒロタケ多糖Schizophyllanの実験的細菌感染症に対する感染防御効果
小松 信彦南雲 昇大久保 幸枝小池 健一
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1973 年 26 巻 3 号 p. 277-283

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抄録

Schizophyllan (以下, SPGと略) は, 担子菌の1種Schizophyllum commune (スエヒロタケ) の菌糸体培養液中に産生される粘質多糖で, β-1, 3結合を主鎖とし, β-1, 6結合の側鎖をもつ単純グルカンである1, 2)。はじめ, このものは数種の実験的皮下移植腫瘍に対して1~5mg/kgという少量の投与で治療効果のあることが見いだされた3) ので, 種々の基礎実験をおこなつたところ, SPGの効果は, 腫瘍細胞に対する直接作用によるものではなく, 非特異的な宿主防御機構増強作用によるものであることが明らかとなつてきた3~6)。そして, SPGは細菌や真菌に対しても,in vitroでは直接の抗菌作用をもつていないけれども,in vivoの実験では諸種の病原菌に対する感染防御効果を発揮することを見いだしたので, 報告する次第である。本報告では, SPGがマウスの網内系機能と食菌能に及ぼす影響および各種病原細菌による急性の実験的感染症に対する感染防御効果について述べる。

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