The Japanese Journal of Antibiotics
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Amikacin (BB-K8) の聴器におよぼす影響に関する電子顕微鏡的観察
中井 義明山本 馨頭司 研作藤本 明子
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1974 年 27 巻 2 号 p. 212-217

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抄録

医療用に開発されている数多くの抗生物質のうち, 内耳を選択的に障害して耳鳴, 難聴, めまいを発現するものがあることはよく知られている。ジヒドロストレプトマイシン, カナマイシンなどアミノ配糖体抗生物質と, ポリミキシン, バイオマイシンなどペプチド抗生物質は聴器に障害を惹起する代表的な薬物であるが, 同系に属する薬物でも化学構造の軽度の差によつて, 聴器変性の程度に大きな差がみられる。今回, 新らしく開発されたアミノ配糖体抗生物質の1つであるカナマイシンAに, 4-アミノ-2-ヒドロキシ酪酸を作用して合成されたAmikacin (BBK8) の聴器におよぼす影響について, 動物実験によつて形態的観察をおこなつた。BB-K8の化学名は1-N- [L-(-)-γ-Amino-α-hydroxybutyryl] kanamycin Aと称し, 融点203゜~204℃を示す無味無臭のきわめて安定性の高い結晶性粉末で, 下記の構造をもつ化合物であり, 従来のアミノ配糖体抗生物質に耐性となつている菌に対しても強い抗菌作用を示すとともに, 本剤ならびにカナマイシンに感受性をもつ同一菌株に対し, カナマイシンの数倍の抗菌力を示し, 実に従来実質的にカナマイシンの抗菌スペクトラムにはなかつた変形菌, クレブジュラ, 緑膿菌にまで強い抗菌作用を示すなど特異な抗菌作用をもつといわれている。

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