The Japanese Journal of Antibiotics
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27 巻, 2 号
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  • 中川 圭一, 渡辺 健太郎, 鈴木 達夫
    1974 年 27 巻 2 号 p. 69-72
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Rifampicin (以下RFPと略す) は, 1957年Streptomyces mediterraneiから分離された抗生物質Rifamycinの誘導体であり, その特徴として, 消化管からよく吸収され, 結核菌, グラム陽性菌に高い抗菌力をもつ。本剤は, すでに抗結核剤として, また肺結核に混合した呼吸器感染症に使用されているが, 今回我々はE.coliおよびKtebsiellaを検出した尿路感染症と, 胆道感染症の, 計13例にRifampicin (Ciba) を使用し, 臨床効果の検討とともに, 基礎的検討を加えたので, ここに報告する。
  • 秋葉 享, 富沢 功, 辻 正周, 佐藤 麿人, 飯村 達, 清水 長世, 柳下 徳雄, 大久保 暢夫, 柏木 義勝, 柴田 実
    1974 年 27 巻 2 号 p. 73-85
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    本研究は狸紅熱研究会の研究テーマとして採択・実施されたものである。
    医薬品の最終的な評価の手段は, 臨床実験にあることは, 言をまたない。
    近年, 従来から広くおこなわれていた通常の臨床実験に代つて, 偽薬または, 常用され, 評価の明らかと考えられる標準薬を対照とした二重盲検による比較対照試験と, その成績の推計学的手法による解析によつて客観的, かつ相対的な評価を得ようとする試みが繁用されるようになつた。
    抗生物質を含む化学療法剤の評価に当つては, その適応疾患の性質から, 通常のOpen studyでも, 他の薬剤にくらべれば比較的客観的な判定が可能であろうという考えも多く, 人道上の問題もからんで化学療法剤の二重盲検試験の実施について種々議論がなされてきた。
    従来から, しばしば指摘されているように, 二重盲検試験の実施に当つては, 対象疾患の選び方と, それに適合した実験デザインの組み方によつて, その精度が大きく左右される。
    狸紅熱は,(1) 患者が隔離収容されているため, 理由不明の脱落がほとんど起らない。 (2) 発症後, 日を経ていない症例では, 病状の経過に対する他の因子の修飾が少ない。 (3) 他の感染にくらべれば, 直接病原菌の消長が観察しやすい等の理由から, 感染症の治療効果を観察する対象疾患としては好都合な条件を備えていると考えられる。
    当研究会では, 山之内製薬株式会社によつて新しく開発された小児用ジョサマイシン誘導体製剤の薬効評価に当つて, 小児用マクロライド系抗生物質製剤の中で最も多用されていると考えられるシロップ用エチルコハク酸エリスロマイシンを対照薬とし, 狸紅熱に対するシロップ用プロピオン酸ジョサマイシンの効果を二重盲検によつて比較検討した。
  • 古沢 太郎, 平竹 康祐, 岡村 和弘, 矢島 息吹
    1974 年 27 巻 2 号 p. 86-94
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cefazolin (以下CEZと略称する。市販名Cefamezin) は, 藤沢薬品工業株式会社によつて開発された国産唯一のCephalosporin C系新抗生物質であるが, CEZの詳細については, すでに周知のことでもあるので, ここでは改めてふれない。
    今回, 私どもはCEZの供試機会を得て, 昭和46年1月から8月までの8カ月間に私たちのクリニークでおこなつたCEZ使用の臨床経験について報告したい。
  • 小林 稔
    1974 年 27 巻 2 号 p. 95-100
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 南雲 昇
    1974 年 27 巻 2 号 p. 101-103,105
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Basidiomycetes (担子菌類) のTricholomataceae (シメジ科) に属するSchizophyllum commune (スエヒロタケ) は, その菌糸培養炉液中に単純グルカンであるSchizophyllan (以下, SPGと略) を生産するが, SPGはβ-1, 3結合をなす直鎖状のグルコース残基3個に対して1個の割合で1分子のグルコースがβ-1, 6結合を介して分岐した粘性の強い物質である。スエヒロタケの培養条件については, 小松ら1) が, またSPGの調製法, 構造および物理化学的性質に関しては, 菊本ら2, 3) が詳細に報告している。
    はじめ, SPGは数種の実験的同種皮下移植腫瘍に対して1~5mg/kgという少量の投与ですぐれた治療効果のあることがみいだされ4), その後, 小松ら5~9) によつて種々の基礎実験がおこなわれた結果, このものは正常マウスにおいて, Zymosanの40分の1量の投与でZymosanをしのぐCarbon clearance率の尤進5) をもたらし, 前処置によつて腹腔浸出細胞の食菌能5) とLysosome水解酵素活性6) の増強をもたらすとともに, 諸種の急性細菌感染症に対する感染防御能を非特異的に高める作用5) があることがわかつた。また, SPG投与によつて腫瘍が完全退縮したマウスでは, 腫瘍抗原存在下で顕著なマクロファージ遊走阻止現象がみられ, 移植腫瘍に対する細胞性免疫の成立に影響を与えることが示唆された7) 。さらに, 慢性感染症であるマウスの実験結核症に対して, SPG単独またはほかの抗結核薬との併用において, 著るしい延命効果がみとめられ, そのさいの各臓器の病理組織学的所見においても, 治療効果が明らかにみとめられたことをすでに報告8) したが, SPGのこれらの作用は腫瘍細胞や病原体に直接作用するのではなくて, 非特異的な宿主防御機構増殖作用によるものであることが明らかとなつてきた。
    今回著者は, SPGが実験結核症マウスの肺内生菌数の経時変化におよぼす影響について実験をおこない, また, SPG前処置正常マウスの腹腔マクロファージを組織培養して, これに結核菌を食菌させたのち, マクロファージ内結核菌の運命を経時的に追跡し, 興味ある知見を得たので報告する次第である。
  • 副島 林造, 徳永 勝正, 川崎 渉一郎, 野津手 晴男
    1974 年 27 巻 2 号 p. 112-117
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    各種化学療法剤の髄液内移行は, 薬剤の血清中濃度, 血漿アルブミンとの結合率, アセチル化, 髄膜の炎症の有無やその程度, さらに薬剤の物理化学的性状など多くの因子に影響される。従来報告された化学療法剤の髄液内移行については, Sulfonamide, Chloramphenicol以外の薬剤の移行はきわめて低く, とくに髄膜に炎症がみとめられないばあいは血清中濃度の1/10~1/100程度の移行がみとめられるに過ぎないようである。
    われわれも, Ampicillin, Chloramphenicol, Erythromycin, Doxycycline, Rifampicin, Cephaloridine, Kanamycin, Gentamicinなど各種抗生剤の髄液内濃度を測定し, 第18回および19回化学療法学会総会において報告したが, 今回は, Carbenicillin (以下CB-PCと略す) およびSulbenicillin (以下SB-PC) の髄液内移行について検討した。さらに, 4例の化膿性髄膜炎患者に使用したので, その臨床成績もあわせて報告する。
  • Streptococcus hemolyticus, Diplococcus pneumoniaeおよびPseudomonas aeruginosaによる実験
    石川 英之, 小黒 義五郎
    1974 年 27 巻 2 号 p. 118-121
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    プロメラインは, Bromeliceae科に属する植物に見出されるよく類似した蛋白分解酵素の1群で, 特にパイナップルの根茎にきわめて多く含有することが見出されて以来, これを原料として抽出精製した製剤として医療面を始め各方面での用途に供されている。
    医薬品としてのプロメラインは, 抗浮腫.抗炎症剤として薬理学的応用はすでに確立されているが, これらの作用以外に古くからプロメラインを含む蛋白分解酵素が抗生物質との併用投与により1, 2, 3), 血液, 胆汁, 膿汁, 筋肉および各種臓器中の抗生物質濃度を著るしく高めることを見出し, さらに臨床的にも好成績をおさめた例が報告されている。われわれも, 前報において4), プロメラインと抗生物質との併用による抗生物質血中濃度に対する増強効果を, ウサギ腸管投与によつて検討したところ, 特にPenicillin V, Erythromycinとの併用時は血中濃度が著るしく高くなることを報告した。
    このように, 蛋白分解酵素と抗生物質との併用投与したばあい, 抗生物質の各組織や体液中への移行量に対する影響を比較検討した報告は多くみられるが, 生体内における感染症に対する治療効果について, 動物を用いての併用による感染防禦に関する報告はまだみられないようである。
    そこで今回われわれは, プロメラインを用いて各種抗生物質の併用投与によるマウスでの実験的細菌感染症に対する治療効果を, 抗生物質単独投与のばあいと比較検討した結果, 併用投与によつて治療効果を増強する知見が得られたので, ここに述べる。
  • 第2報2, 3の抗生物質の影響およびCarbenicillinと多形核好中球内殺菌物質との相互作用
    峯 靖弘, 野々山 重男, 西田 実
    1974 年 27 巻 2 号 p. 122-127
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    さきにわれわれは, 多形核好中球 (PMN, Polymorphonuclear leukocytes) によるPseudomonas aerugtnosaの貪食殺菌効果を検討し, Ps.aeruginosaにはPMNによる貪食殺菌に比較的感受性の株と耐性の株が存在することを報告した。また, PMNの活性は, 低濃度のCarbenicillinの共存時に増強されることをみとめた。
    本報では, 作用機作の異なる2, 3の抗生物質の影響, PMNの殺菌活性物質とCarbgnicillinの相互作用, Ps.aeruginosaの培養炉液の阻害作用などについて検討したので報告する。
  • 青河 寛次, 皆川 正雄, 山路 邦彦, 杉山 陽子
    1974 年 27 巻 2 号 p. 128-134
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Benzyl-penicillin投与が時に溶血を来たす可能性があることは, 以前から知られていたが, 1967年MOLTHAN et al.は, Cephalothin (CET) 約49/day (2~8g/day) 投与によつてCooMBS testが25/31例に陽性となつたと述べ, in vitroでもCET333mcg/ml, Cephaloridine (CER) 521mcg/mlで同反応の影響をみとめ, 窒素血症患者の血中濃度はin vitroに類似した値を来すので, 両者から薬剤の影響を示唆する報告をしている。その後, GRALRICK et al.(1967, 68), YORK et al.(1968), PERKINS et al.(1967), KAPLAN (1968), その他によって, CERをふくむCephalosporin C系抗生物質のCooMBS testに及ぼす影響が報告され, 死亡, 溶血出現を報じているばあいもある。
    われわれは, 抗生物質投与のCooMBS testへの影響に関する基礎的, 臨床的研究をおこなつているが, 今回はCephalosporin C系物質につき述べる。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 渡辺 修, 藤井 尚道, 近岡 秀次郎
    1974 年 27 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 遠藤 浩一
    1974 年 27 巻 2 号 p. 141-143
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Paromomycin (Aminosidine)(以下PRM (AMD) と略) は, かなり広い抗菌スペクトルをもつ抗生物質であるが, Kanamycin等と交叉耐性があるといわれている。今回, 著者は, 肺結核患者喀痰から分離された結核菌に対するPRM (AMD) の試験管内抗菌力を測定し, Kanamycin (KM), Capreomycin (CPM) またはViomycin (VM) 耐性結核菌がPRM (AMD) に対して感受性の低下を示すかどうかを検討したので, ここにその結果を報告する。
  • 水谷 明, 高木 健三, 堀場 通明
    1974 年 27 巻 2 号 p. 144-147
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
  • 宮村 定男, 落合 宏
    1974 年 27 巻 2 号 p. 148-151
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新合成セファロスポリン剤Cephapirinに関する細菌学的研究, 特にその抗菌性および細菌の産生する不活化物質について研究し, 同種の薬剤であるCephaloridineおよびCefazolinと比較したので報告する。
  • 三橋 進, 柳沼 慧, 小野 英男, 倉茂 達徳
    1974 年 27 巻 2 号 p. 152-156
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephapirinは, 米国ブリストル・ラボラトリーズ研究所で合成された新らしいセファロスポリン系抗生物質である。セファロスポリン系抗生物質は, ブドウ球菌に対して強い抗菌活性を示すが, 一般に, 変形菌や緑膿菌などのグラム陰性桿菌に対しては, その抗菌活性は低い。セファロスポリン系抗生剤の作用機作は, ペニシリンと同じく細胞壁合成阻害であるとされている。耐性機作もベニシリンと同じで, β-ラクタマー-tiによる薬剤の分解が明らかにされている。
    今回, われわれは, 本剤について, 他のセファロスポリン系抗生物質であるセファロリジン, セファロチγおよびセファレキシンを比較薬剤として, in vitroおよびin vivoにおける抗菌活性およびβ-ラクターマーゼに対する安定性を検討したので, 報告する。
  • 小酒井 望, 小栗 豊子
    1974 年 27 巻 2 号 p. 157-163
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    最近Cephalosporin剤の開発が盛んにおこなわれ, つぎつぎに新らしいCephalosporin剤が登場しつつある。その1っCephapirin (CEP) の抗菌力を, 最近臨床材料から分離した各種病原細菌について, Cephaloridine (CER), Cephalothin (CET) と比較したので報告する。
  • 中澤 昭三, 大槻 雅子, 木田 起志子, 定道 外美子, 田中 幸子, 田中 美千
    1974 年 27 巻 2 号 p. 164-173
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephapirin sodiumは, 米国ブリストル・ラボラトリーズ研究所で合成された7-Amino-cephalosporanic acidを母核とする注射用の新らしいセファロスポリンC系抗生物質である。構造式は次のとおりで, 化学名はSodium7- [α-(4-pyridylthio)-acetamido] -cephalosporinateである。
    分子式は, C17H16N3NaO2S2, 分子量445.42の淡黄色の結晶性粉末で, 水に易溶, 低級アルコール, アセトン, ジオキサンには難溶, ベンゼンには不溶である。
    Cephapirinのマウス, ラットにおける急性毒性は, 静注では4,600mg/kg, 4,580mg/kgで, ラットにおける経口時の急性毒性は14,000mg/kgであるといわれている。
    Cephapirinの細菌学的評価については, 臨床分離菌を用いた抗菌スペクトラム, ブドウ球菌に対する殺菌作用, マウス実験的感染症の治療実験などCHIsHoLMら1) のCephalothinを対照とした研究があり, また, AXELRODら2) によるM.I.C., M.B.C.からみた臨床分離株の抗菌スペクトラム, 大腸菌, ブドウ球菌での接種菌量, 人血清による影響の研究, さらに臨床分離株の感受性を調べたBRANら3), BoDNERら4) の成績, またWIESNER5) らの接種菌量を変えたばあいの臨床分離株の感受性分布の成績などが報告されている。
    今回私どもは, Cephapirin sodium (CEP) に関する細菌学的評価を既知の注射用合成セファロスポリン系抗生物質であるCephalothin (CET), Cephaloridine (CER), Cefazolin (CEZ) を比較薬剤として同一条件下で検討した。
  • 原 耕平, 斎藤 厚, 那須 勝, 中富 昌夫, 岩永 正明, 堤 恒雄, 伊勢 宏治
    1974 年 27 巻 2 号 p. 174-181
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    感染症の治療に関しては第1に起炎菌を決定し, ついでそれに効果のある抗生物質を選択することであり, 呼吸器感染症においても例外ではない。近年, 広域スペクトラムをもつ数多くの抗生物質の中でも, Cephalosporin系抗生物質が多数開発され, 呼吸器感染症をはじめ各種感染症に広く応用され十分な効果があげられている。
    今回, 米国Bristol Laboratoriesで新らしく開発されたCephalosporin系抗生物質であるCephapirin (CEPと略す) は, Gram陽性菌, Gram陰性菌に作用する広域スペクトラムをもち, その抗菌力は従来の同系統のCephalothin (CET) とほぼ同様であるといわれている。
    私達は, 下気道に主病変をもつ呼吸器感染症にCEPの比較的大量点滴静注をおこない, その治療効果, 副作用, その他2, 3の検討を加えたので報告する。
  • 森川 明信, 丸田 浩, 水野 伝一
    1974 年 27 巻 2 号 p. 182-184
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephapirinの吸収排泄を, ウサギ体内で検討した。
  • 胆道疾患使用例を中心として
    久次 武晴, 古沢 悌二, 山本 裕士, 西村 正也, 志村 秀彦
    1974 年 27 巻 2 号 p. 185-188
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephapirinは, セファロスポリン系誘導体で, Sodium7- [α-(4-pyridylthio)-acetamido] -cephalosporinateの構造をもち, グラム陽性菌ばかりでなくグラム陰性菌にも抗菌力を示し, かなり広域の抗菌スペクトルをもつ。われわれは, Cephapirinを外科的胆道感染症, 胆石症の術前, 術後に使用して治療効果を検討したので報告する。
  • 三橋 進, 川辺 晴英, 伊予部 志津子, 田中 徳満, 井上 松久
    1974 年 27 巻 2 号 p. 189-192
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    新アミノ配糖体抗生物質Amikacin (BB-K8) は, Kanamycin Aの構成分である2-Deoxystreptamine部分のC-1アミノ基を, L (-)-γ-Amino-α-hydroxybutyric acid (L-HABA) でアシル化した抗生剤である。各種アミノ配糖体抗生物質の耐性機構の1つには, 薬剤の不活化が知られているが, L-HABAをもつAmikacinはこれら不活化酵素に対して抵抗性を示し耐性菌に有効である1, 2) 。そこで今回私どもは, 数多くの病巣分離株における本薬剤の抗菌力試験および病巣から得られたGentamicin耐性およびKanamycin耐性株について本物質の抗菌試験をおこない, 他のアミノ配糖体抗生物質との比較を試みたので, ここに報告する。
  • 広川 勲, 中野 巌, 岡田 清己, 檜垣 昌夫, 秋間 秀一, 市川 篤二, 中村 正夫
    1974 年 27 巻 2 号 p. 193-201
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ブリストル万有製薬研究所において研究開発されたAmikacin (BB-K8) は, カナマイシン耐性菌にも有効な新らしいカナマイシン誘導体である。我々は, 昭和47年12月から本抗生剤を尿路感染症に試用し, その治療成績を検討したので, 報告する次第である。
  • 荒谷 春恵, 山中 康光, 河野 静子, 建石 英樹
    1974 年 27 巻 2 号 p. 202-211
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    BB-K8: 1-N [L-(-)-γ-Amino-α-hydroxybutyryl] kanamycin A 1) は, アミノ配糖体抗生物質の耐性機序2~6) にもとづき, Kanamycin Aの1-NHを4-Amino-2-hydroxybutyric acidで修飾し, 半合成された新らしいアミノ配糖体抗生物質であり, その抗菌像7) は, 1, 2のものを除いて, Kanamycinと同等またはそれ以上の抗菌力をもち, なかでも緑膿菌や変形菌に強い抗菌性をしめし, 他のアミノ配糖体抗生物質耐性菌に対しても効果のあることが述べられている。
    その薬理作用8) については, 急性毒性, 悪急性毒性, 慢性毒性および聴器毒性9) について検討され, 一般薬理作用8) についても, 万有の研究陣によつて報告されている。
    私どもは, BB-K8を入手する機会を得たので, その一般薬理作用を検討し, 先に報告10~15) したアミノ配糖体抗生物質のそれと比較した。
  • 中井 義明, 山本 馨, 頭司 研作, 藤本 明子
    1974 年 27 巻 2 号 p. 212-217
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    医療用に開発されている数多くの抗生物質のうち, 内耳を選択的に障害して耳鳴, 難聴, めまいを発現するものがあることはよく知られている。ジヒドロストレプトマイシン, カナマイシンなどアミノ配糖体抗生物質と, ポリミキシン, バイオマイシンなどペプチド抗生物質は聴器に障害を惹起する代表的な薬物であるが, 同系に属する薬物でも化学構造の軽度の差によつて, 聴器変性の程度に大きな差がみられる。今回, 新らしく開発されたアミノ配糖体抗生物質の1つであるカナマイシンAに, 4-アミノ-2-ヒドロキシ酪酸を作用して合成されたAmikacin (BBK8) の聴器におよぼす影響について, 動物実験によつて形態的観察をおこなつた。BB-K8の化学名は1-N- [L-(-)-γ-Amino-α-hydroxybutyryl] kanamycin Aと称し, 融点203゜~204℃を示す無味無臭のきわめて安定性の高い結晶性粉末で, 下記の構造をもつ化合物であり, 従来のアミノ配糖体抗生物質に耐性となつている菌に対しても強い抗菌作用を示すとともに, 本剤ならびにカナマイシンに感受性をもつ同一菌株に対し, カナマイシンの数倍の抗菌力を示し, 実に従来実質的にカナマイシンの抗菌スペクトラムにはなかつた変形菌, クレブジュラ, 緑膿菌にまで強い抗菌作用を示すなど特異な抗菌作用をもつといわれている。
  • 西村 洋司, 高安 久雄
    1974 年 27 巻 2 号 p. 218-222
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    アミノ配糖体抗生剤で新らしく開発されたAmikacin (BB-K8)(以下AKCと略す) に対する臨床的評価をおこなう過程として, 今回尿路感染症のうち主として急性単純性膀胱炎を対象としてとりあげ, その臨床的評価を試みた。
    また, AKCのばあいと全く同様な計画によつてStreptomycin (以下SMと略す) について治療をおこなつた成績について比較検討をした。
  • 高橋 久, 村山 礼子
    1974 年 27 巻 2 号 p. 223-225
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    BB-K8 (Amikacin) は, 広いスペクトルをもつ半合成アミノ配糖体系抗生物質であつて, カナマイシンから誘導される。その抗菌力は, カナマイシンとほぼ同程度であるが1), Pseudomonas aeruginosaにはカナマイシンよりも有効であるといわれ2), 本剤はカナマイシン, ゲンタミシン耐性菌に対しても効果を発揮するといわれる。今回, 万有製薬から本剤の供与をうけて, 膿痂疹を主とした皮膚化膿症に使用する機会を得たので, ここに報告する。
  • 近藤 捷嘉, 天野 正道, 新島 端夫
    1974 年 27 巻 2 号 p. 226-233
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1) Minimal inhibitory concentration of amikacin (BB-K8) was determined on 84 strains isolated from urinary tract infections by the plate dilution method. Many strains of Escherichia coil, Staphylococcus aureus and Pseudomonas tested were inhibited at the concentration of 6.25 mcg/ml or less.
    2) In one case with normal renal function, the blood level reached the maximum (25.5 mcg/ml) 30 minutes after intramuscular administration of 200 mg amikacin.
    3) The urinary recovery was 82.8% during 6 hours after injection in one normal subject.
    4) Thirty-one cases with the complicated urological infections were intramuscularly treated with amikacin 100-400 mg per day. These were 20 cases of chronic pyelonephritis, 7 cases of chronic cystitis and 3 cases of acute prostatitis. Good results were obtained in 20 cases.
    5) Side effects were observed in 6 of 31 cases throughout the treatment. Some elevation of serum transaminase was observed in 5 cases and tinnitus and headache in one case. There was no case with abnormal audiogram.
  • 藤本 幹夫, 平尾 智, 上田 隆美, 酒井 克治, 白羽 弥右衛門, 川畑 徳幸, 沢田 晃, 佐々木 武也, 前田 貞邦
    1974 年 27 巻 2 号 p. 234-237
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    万有製薬から提供されたAmikacin (BB-K8) は、KanamycinAに4-Amin-2-hydroxybutyric acidを作用させて合成されたアミノ配糖体系抗生物質の1つである。本剤は, Kanamycin耐性菌および緑膿菌などに抗菌作用を示すばかりでなく, KanamycinおよびGentamicinとの間に交叉耐性がみられず, 副作用もKanamycinと同じ程度か, やや弱いという特性をもつている。
    われわれは, 本剤の血清中濃度, 尿中排泄率を測定するとともに, 外科的感染症に本剤を試用し, その臨床効果を検討したので, ここにその結果を報告する。
  • 大石 正夫, 中枝 武豊, 西塚 憲次, 本山 まり子
    1974 年 27 巻 2 号 p. 238-243
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Amikacin (BB-K8) は, ブリストル万有研究所で開発されたアミノ配糖体系抗生剤で, Kanamycin (KM) の耐性機構の解明の結果えられた新らしいKM誘導体である。
    本剤の特徴は, その抗菌作用においてみられ, KM感性菌には、ほぼ同等の抗菌力を示すが, 緑膿菌を含むKM耐性菌に対しても, 抗菌活性をあらわす。
    私どもは本剤の眼感染症に対する臨床応用のための基礎的ならびに臨床的検討をおこなつたので, 以下にそれらの成績を報告する。
  • 1974 年 27 巻 2 号 p. 244-255
    発行日: 1974/04/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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