Cephapirin sodiumは, 米国ブリストル・ラボラトリーズ研究所で合成された7-Amino-cephalosporanic acidを母核とする注射用の新らしいセファロスポリンC系抗生物質である。構造式は次のとおりで, 化学名はSodium7- [α-(4-pyridylthio)-acetamido] -cephalosporinateである。
分子式は, C17H16N3NaO2S2, 分子量445.42の淡黄色の結晶性粉末で, 水に易溶, 低級アルコール, アセトン, ジオキサンには難溶, ベンゼンには不溶である。
Cephapirinのマウス, ラットにおける急性毒性は, 静注では4,600mg/kg, 4,580mg/kgで, ラットにおける経口時の急性毒性は14,000mg/kgであるといわれている。
Cephapirinの細菌学的評価については, 臨床分離菌を用いた抗菌スペクトラム, ブドウ球菌に対する殺菌作用, マウス実験的感染症の治療実験などCHIsHoLMら1) のCephalothinを対照とした研究があり, また, AXELRODら2) によるM.I.C., M.B.C.からみた臨床分離株の抗菌スペクトラム, 大腸菌, ブドウ球菌での接種菌量, 人血清による影響の研究, さらに臨床分離株の感受性を調べたBRANら3), BoDNERら4) の成績, またWIESNER5) らの接種菌量を変えたばあいの臨床分離株の感受性分布の成績などが報告されている。
今回私どもは, Cephapirin sodium (CEP) に関する細菌学的評価を既知の注射用合成セファロスポリン系抗生物質であるCephalothin (CET), Cephaloridine (CER), Cefazolin (CEZ) を比較薬剤として同一条件下で検討した。
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