The Japanese Journal of Antibiotics
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Sulbenicillin大量療法における薬剤感受性ディスクの基礎的検討
小栗 豊子小酒井 望
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1974 年 27 巻 4 号 p. 522-525

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抄録

最近, 耐性菌による難治感染症の治療に化学療法剤の大量投与に関する研究が注目されてきた. Sulbenicillin (SB-PC) は, わが国で開発された広域合成ペニシリンで, 使用されはじめてまだ日が浅いが, その抗菌スペクトルはグラム陽性菌ばかりでなく, 緑膿菌等のグラム陰性桿菌に対して強い抗菌作用をもち, 大量投与が可能な薬剤であることから, これらの耐性菌による難治感染症の治療に適している薬剤といえよう.
一方, 現在わが国においておこなわれているディスク法による薬剤感受性検査は, 最小発育阻止濃度 (MIC) 100mcg/ml以下の菌株についての感性度を大まかに表現するものであり, 大量投与による臨床効果の予測のためには, さらに検討の余地があるものと思われる.
近頃, 私共は, SB-PCはじめ大量療法の可能性の考えられる数種類の薬剤については, 1,600mcg/mlを最高濃度としてMICを測定している. こうしてみると, 100mcg/mlでは発育が阻止されなくとも, 1,600mcg/ml以下で発育を阻止されるばあいが菌種, 薬剤の種類によつては, かなりみとめられることが明らかになつた1). SBPCは, 尿中に高濃度に排泄されるし, 尿路感染の原因菌としては, このような大きいMICを示すグラム陰性桿菌が高頻度を占めている. そこで私共は, グラム陰性桿菌のSB-PC耐性株 (MICは25mcg/ml以上) を用いて, 主として尿路感染症におけるSB-PC大量療法のディスク法による感受性検査の資料とすることを目的として, 以下の実験をおこなつた.

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