The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefatrizine (S-640P) の代謝
松崎 明紀大多和 昌克秋山 勇山本 三千世冨岡 順子清原 美恵馬淵 正
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1976 年 29 巻 1 号 p. 90-106

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抄録

S-640Pの経口投与後の各種動物 (ラット, ウサギ, 犬およびサル) ならびに健康成人志願者における血中および尿中代謝産物について検索をおこない, 以下の結果が得られた。
1) 各種動物に50mg/kg, 200mg/kg, 400mg/kgおよび800mg/kg, 健康成人志願者に250mg/manおよび500mg/manのS-640Pを経口投与し, 血中代謝産物について検討した結果, 未変化S-640P以外に代謝産物はみとめられなかつた。
2) 尿中代謝産物については, 各種動物および健康成人志願者とも, そのほとんどが未変化S-640Pであるが, それ以外にきわめて微量な代謝産物が, ラットで5種類 (M-2, M-3, M-4, M-5およびM-6), 犬で4種類 (M-2, M-3, M-4およびM-5), ウサギおよびサルで3種類 (M-2,M-4およびM-5) みとめられた。
3) 健康成人志願者のばあい, 未変化S-640P以外, 6人中4人に2種類の微量代謝産物がみとめられた。これらの代謝産物は,各種動物尿でみとめられたM-4およびM-5に一致した。
4) S-640Pは, 各種動物および健康成人志願者とも, 投与後0~8時間までの尿中に, そのほとんどが未変化体として排泄され, 0~24時間までの未変化S-640Pの尿中平均回収率は, 50mg/kg投与のばあい, ラットで74.4%, ウサギで71.0%, 犬およびサルでそれぞれ62.8%, 58.1%であつた。
健康成人志願者, 500mg/manのばあいは, 81.7%であり, これらは尿中総排泄量のそれぞれ98.2, 98.9, 98.6, 99.0および99.6%であつた。
また, S-640P以外の微量代謝産物の24時間までの尿中平均総回収率は, ラットで1.4%, ウサギ, 犬およびサルでそれぞれ0.8, 0.9および0.6%程度であり, 健康成人志願者のばあいは, 0.3%と, きわめて微量であつた。
5) 経口投与されたS-640Pは, ほとんど代謝を受けることなく, 未変化のまま8時間までの尿中に排泄される。

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