The Japanese Journal of Antibiotics
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Spectinomycin 1回投与による男子急性淋菌性尿道炎の治療
宮本 慎一熊本 悦明阿部 厚三清水 光博郷路 勉
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1976 年 29 巻 10 号 p. 902-905

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抄録

急性淋菌性尿道炎の治療には, 従来からAqueous procaine penicillin G (APPG) が多くもちいられ, 今後とも選択すべき治療薬剤と考えられる。しかし, Penicillin hypersensitivityの問題に加えて, 近年Neisseria gonorrhoeaeのPonicillin耐性, Totracycline耐性が増加しているという報告や1), Penicillin治療の有効性が低下しているという報告2) がみられる。
Spectinomycinは,Streptomyces Spectabitisから分離されたAminocyclitol antibioticであり, 通常Dihydrochloride pentahydratoの形で投与される。Fig.1に示す構造式をもつ水溶性の白色結晶物質である。
DUNCAN8) によるとN. gonorrhoeae 80株に対するSpoctinomycinのMIC分布は, 5μg/ml 2株, 7.5μg/ml 24株, 10μg/ml 31株, 15 μg/ml Fig. 1. Spectinomycin 23株となつている。また, 大槻4)によると, N.gonorrhoeae 37株に対するMIC分布は, 3.13μg/ml 4株, 6.25μg/ml 22株, 12.5μg/ml 11株となっている。
Spectinomycin 2g筋注後の血中濃度は, 投与1時間後に約100μg/mlのピークがあり, 投与8時間またはそれ以上にわたつて35μg/ml以上の血中濃度が得られると報告されており5),N. gonorrhocaeにはかなり有効な薬剤と考えられる。諸外国での臨床報告も, それを裏付けるような成績である。そこでわれわれも, 男子淋菌性尿道炎患者に対して, このSpectinomycinの1回投与による治療を試み, 優れた成績を得たので報告する。

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