1977 年 30 巻 10 号 p. 835-839
T-1220は, 富山化学工業 (株) において開発されたβ-ラクタム系抗生剤で, グラム陽性・陰性の各種細菌に対して広範囲な抗菌スペクトラムをもち, 特にKlebsiella, Proteus, Pseudomonas, Serratiaなどに優れた抗菌力を示す1)。また, 本剤は腎および肝に高い移行性を示し, 次いで血清, 心, 肺, 脾, 筋肉の順に移行する。血清蛋白との結合率は22%と低く, 体内ではほとんど代謝を受けず, 主として尿中へ排泄されるが, 胆汁中への排泄も比較的良好であるといわれている1)。
われわれも今回, 本剤を使用する機会を得たので, 胆汁中濃度の測定をおこない, さらに, 胆道感染症に対する臨床治験を試みたので報告する。