The Japanese Journal of Antibiotics
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Oxacillin-Ampicillin (Broadcillin‘Banyu’) の静脈内投与使用経験
服部 春木若林 良草野 正一清水 節柿沼 利明
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1977 年 30 巻 11 号 p. 877-880

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抄録
本剤 (Broadcillin‘万有’) は, 主に筋肉内注射によって使用されてきた。 しかし, 大腿四頭筋短縮症の多数の報告は, 医療従事者, 特に小児科医にとって, 安易な筋肉内投与に対しての反省を強いることとなった。 また, 小児に対する経口的な抗生物質の投与は, 吸収および血中濃度の上昇が不確実であること, さらに小児の重症感染症では嘔吐, 下痢等の消化器症状が合併し, 経口投与不能なことが多いこと, および消化器症状を増悪させる危険性があること等の欠点があるため, 当院では, 感染症による入院患者については, 可能なかぎり静注による抗生物質投与を心掛けている。
本剤についても, 従来の報告は, 投与方法を筋肉注射とするものが多いが, 我々は静脈注射による投与をおこない多少の症例を得たので, 効果, 副作用等の評価を加え, ここに報告する。
今回は, 昨年度例数の多かった下気道感染症を中心に検討したが, これは尿路感染等と異なり, 原因菌の決定が困難であり, 咽頭培養による検出菌が下気道の炎症の原因菌 (たとえば, 胸水から培養された菌種) と異なることも多く, 必ずしも原因菌を反映しないということから, 広範囲のスペクトルをもつ本剤をFirst choiceとして使用し, 培養の結果によって, 必要があれば他剤との併用等を考えることとしている。
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© 公益財団法人 日本感染症医薬品協会
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