日本透析療法学会雑誌
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維持透析患者に発生した腎オンコサイトーマの1例
西阪 誠泰夫 恩澤河野 学前川 たかし吉原 秀高和田 誠次安本 亮二岸本 武利淀井 省三
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1993 年 26 巻 9 号 p. 1543-1547

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抄録
症例は53歳, 女性. 11年前より近医で維持透析を受けていたが, 1990年の腹部エコーとCTで偶然, 右腎腫瘤を指摘された. その後, 症状の出現もなく定期検査のもと経過観察されていたが, 1992年のCTでもやはり増大傾向はないものの同腫瘤が認められたため, 精査目的で当科入院となった. 腹部大動脈造影の結果, 中等度のhypervascularityの所見が認められ, 腎細胞癌の可能性も否定できず, 同年4月に根治的右腎摘出術が施行された. 病理組織学的には, 光顕では腫瘍は好酸性顆粒に富む細胞質を有する核異型の乏しい細胞からなり, また電顕では細胞質内にミトコンドリアが豊富に認められたことから, 腎オンコサイトーマと診断された. 本邦において, これまで維持透析患者に発生した腎オンコサイトーマの報告例はこれまでにも1例を見るのみで, 非常に稀な疾患と考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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