The Japanese Journal of Antibiotics
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Clindamycin-2-phosphateの外科における臨床応用
柴田 清人由良 二郎品川 長夫鈴木 一也鈴木 芳太郎恵美奈 実土井 孝司
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1977 年 30 巻 3 号 p. 237-241

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抄録

Clindamycin-2-phosphateは, Macrolide系類似抗生物質であるClindamycinの新らしい誘導体の1つで, 筋注投与または静脈内投与が可能な抗生物質である。本剤自体はほとんど抗菌作用を示さないが, 生体内では加水分解をうけてClindamycinとなり, 抗菌作用を呈し, 特にStaphylococcusをはじめとするグラム陽性菌や, Bacteroidesをはじめとする嫌気性菌に対してLincomycinと同様に広い抗菌スペクトルをもつとされている1) 。しかもClindamycinの抗菌力は, Lincomycinと比較すると, 約4~8倍強力であるとされている2~5) 。
最近, 外科領域における嫌気性菌感染症についての報告も多くみられているが, 一般臨床においては嫌気性菌の抗生剤に対する感受性のパターンが, 好気性菌のそれと相異するところが最も問題となつている。
外科領域における嫌気性菌感染症は, 下部腸管手術後の感染としてみられるばあいが最も多く, 特に直腸切断術後における会陰部創感染としてみられるばあいが多い傾向にある。
今回, 日本アップジョン株式会社から提供をうけたClindamycin-2-phosphate (以下Clindamycinと略す。) を治療を目的としたばあいと, 術後感染予防を目的としたばあいに分けて使用する機会をえたので, その結果について報告する。

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