1977 年 30 巻 6 号 p. 450-458
呼吸器感染症に対する化学療法剤の有効性の一指標として, 化学療法剤投与時の肺病巣肉濃度が拳げられるが. 炎症巣の抗生剤を直接測定できないので, 臨床的には喀痰内抗生剤濃度から肺病巣内濃度を推定することが最も容易であると考えられる。しかし, 呼吸器感染症の化学療法にさいして, 喀痰内抗生剤濃度に関する検討は充分におこなわれていないのが現状である。
このたび, 呼吸器感染症の化学療法にさいして, AM-PC, AB-PCの全身および局所投与では, 喀痰内濃度がどの程度維持されるのかを経時的に観察するとともに, 血中濃度との関連についても検討したので, 以下に報告する。