The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域における持続性Cephalexin顆粒製剤S-6437の使用経験
堀 誠岡本 和美河野 三郎黒須 義宇豊永 義清
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1978 年 31 巻 2 号 p. 59-71

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抄録

Cephalosporin C系薬剤は, グラム陽性球菌に対し広範な抗菌スペクトラムを示すばかりでなく, グラム陰性桿菌においても特殊な低感受性菌を除けば, 日常しばしば遭遇ずる菌種に対しても有効である。
これまで開発されたこの系統の薬剤のほとんどが注射用製剤であつたが, 内服用Cephalosporin C系薬剤としてCephalexinが開発され, 今日臨床で広く用いられている。しかし, これまでの製剤は, カプセル型製剤, 小児用ドライシロップ型製剤ともに, 内服後の吸収は比較的早く, しかも排泄も早いので, 持続的な効果を期待するためには, 所要量を1日4回以上に分割して投与しなければならず, 成人, 年長児はともかく幼児, 乳児に対しては投薬上の不便さがあつた。
これを解消する目的で, 従来の製品に匹敵する穎粒製剤と, 比較的遅く吸収される腸溶型顆粒とを混合して用いれば, かなり持続的に有効な血中濃度が維持されると同時に, 投与回数も減じることができるのではないかという発想によつて, 持続性Cephalexin顆粒製剤が開発され, とくに小児に対しては服用が容易な製剤S-6437が試用される段階た至つた。私たちもCephalexin使用の対象と考えられる小児期感染症に対し本剤を用いるこどができたので, その経験について報告する。

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