The Japanese Journal of Antibiotics
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31 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 堀 誠, 岡本 和美, 河野 三郎, 黒須 義宇, 豊永 義清
    1978 年 31 巻 2 号 p. 59-71
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin C系薬剤は, グラム陽性球菌に対し広範な抗菌スペクトラムを示すばかりでなく, グラム陰性桿菌においても特殊な低感受性菌を除けば, 日常しばしば遭遇ずる菌種に対しても有効である。
    これまで開発されたこの系統の薬剤のほとんどが注射用製剤であつたが, 内服用Cephalosporin C系薬剤としてCephalexinが開発され, 今日臨床で広く用いられている。しかし, これまでの製剤は, カプセル型製剤, 小児用ドライシロップ型製剤ともに, 内服後の吸収は比較的早く, しかも排泄も早いので, 持続的な効果を期待するためには, 所要量を1日4回以上に分割して投与しなければならず, 成人, 年長児はともかく幼児, 乳児に対しては投薬上の不便さがあつた。
    これを解消する目的で, 従来の製品に匹敵する穎粒製剤と, 比較的遅く吸収される腸溶型顆粒とを混合して用いれば, かなり持続的に有効な血中濃度が維持されると同時に, 投与回数も減じることができるのではないかという発想によつて, 持続性Cephalexin顆粒製剤が開発され, とくに小児に対しては服用が容易な製剤S-6437が試用される段階た至つた。私たちもCephalexin使用の対象と考えられる小児期感染症に対し本剤を用いるこどができたので, その経験について報告する。
  • 抗生剤の薬効評価法に関する若干の考察
    紺野 昌俊, 後藤 昌司, 寺西 孝司, 伊藤 昌男, 安田 正俊, 吉備 雅男, 木村 元朗
    1978 年 31 巻 2 号 p. 72-82
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今日, 多数の抗生物質が相次いで開発されている。それら抗生物質の効某判定は, 感染局所における細菌の消長を経時的に追跡して, 抗生物質無投与のばあいより有意に早く消失するかどうかで評価するのが最も適切であろうが, 尿路感染症などの一部感染症を除いて, 細菌の経時的消長を把握することは技術的に困難である。したがつて, 実際の臨床評価においては, 細菌の消長に皮応しやすい体温など臨床症状の推移をもつて代用されているのが現状である。いわば, 鏡に写された虚像によつて評価がなされているわけであり, このため, これらの臨床症状の経時的推移およびそれらと効果判定との関係についての知識が集積されていかねばならないと思われる。
    一方, これらの抗生物質の有効性, 有用性についでは, 比較試験, ことに二重盲検法が繁用されている。そのさい, 公平性を期すために「十分な施設がある医療機関} こおいて経験ある医師により臨床がおこなわれたもの」とされ, 一般的には大学病院などそれに準ずる公的機関においておこなわれたものが望ましいとされている。しかし, 開業医や中小病院においても, 十分な施設がある医療機関において経験ある医師によって実施されたものであれば, 当然評価に耐えうる臨床成績に成り得るであろうし, 特に対象疾患が外来患者を主とした軽, 中等症のばあいには, 症例数や患者の来院聞隔などの面からみると, 大学病院などよりもむしろ開業医や中小病院で治験をおこなうほうが適切であるぱあいもありえよう。
    今回, 筆頭著者である紺野は, 塩野義製薬で開発された持続性セファレキシン製剤 (以下S-6437) を従来のセファレキシン (以下CEX) と比較する二重盲検法1) のコントローラーとして解析に関与する機会を得, この臨床治験が公的病院でない純然たる開業小児科医のグループでおこなわれたという特異性にも興味をもち, 本治験で得られた成績を解析対象として, 臨床症状の経時変化およびそれらと主治医の効果判定との関係について分析し, どのような指標で, どのような時期に効果判定がなされでいたかを検討するとともに, それらの成績からみた効果判定の妥当性について考察を加えたので報告したい。加えて, この解析をするにあたつて, 貴重な臨床成績を提供していただいた開業小児科医の先生方に敬意と感謝を呈したい。
  • 第2報GentamicinとMinocyclineのばあい
    荒谷 春恵, 中塚 正行
    1978 年 31 巻 2 号 p. 83-91
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    抗生物質併用に関する研究は, 細菌学的ならびに臨床的報告が多く, 生体内動態に関するものは, 3, 4を数えるに過ぎない現状である。一方, 抗生物質と他の薬物との併用において, 薬物の物理化学的性状を中心に, あるいは蛋白結合における干渉作用などが報告され, 近時, 抗生物質が静脈内持続注入されることの多い点を勘案し, 関心が寄せられる理由でもある。
    先に, 第1報では, GentamicinとSulbenicillinおよびCephacetrileとを, ラットに併用 (静注) したさいの生体内動態について, 抗生物質を炉紙電気泳動法で分別し, その生物学的活性を検討した結果を報告した。
    ひきつづき, Gentamicinと静注用Minocyclineとの併用時の生体内動態を, ラットでは第1報と同一手技で, また, Minocyclineの胆汁内排泄を検討のために, ウサギを用いた。
  • 猪狩 淳, 小酒井 望, 小栗 豊子, 掛川 ひとみ
    1978 年 31 巻 2 号 p. 92-98
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年, あいつぐ化学療法剤の開発, 普及と, 一方では釣副腎皮質ホルモン剤, 抗腫瘍剤, 免疫抑制剤の投与による宿主の易感染性の増大によつて, 感染症の様相に変化が生じてきていることは, 数多く指摘されているところである1, 2) 。
    以前は, 感染症の原因菌となることがほとんどないと考えられていた緑膿菌およびその他のブドウ糖非醗酵性グラム陰性桿菌による感染症が増加の傾向にあり, 大病院の入院息者からのこれら細菌の分離頻度が増加してひる8) 。今回私共は, ブドウ糖非醗酵性グラム陰悔桿菌のうち, しばしば臨床材料から分離され, 疾病との因果関係が問われているPseudomonas maltophiliaについて, その検出例の基礎疾患, 感染を起こす誘因と考えられる臨床的背景をしらべ, 加えて, 各種化学療法剤に対する感受性分布を比較検討したので, 報告する。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 藤井 尚道, 小島 碩哉, 新納 憲司, 平間 裕一, 近岡 秀次郎, 岡 秀
    1978 年 31 巻 2 号 p. 99-107
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Leucomycin (以下LM) は, 静脈内投与によつて, マウスの成績かiらではあるが血中濃度に近い値までによく肺に移行すること (Table1), また, 急性呼吸器感染症の多くが本剤のOne shot静注によく反応し, 臨床効果のみられることについては, すでに報告してきた1) 。肺Mycoplasmaは, LMに対して非常に感性 (MIC 0.064μg/ml) であることが報告されているが2), LMの静注による肺Mycoplasma症の治療成績の報告はみられない。
    今回, 私等は小児肺Mycoplasma症を対象とし, LMの点滴静注による臨床的検討をおこない一連の成果を得ることができたので, 以下今日までの概況について報告したいと思う。
  • 1. 実験的胸膜炎ウサギおよび臨床例におけるPenicillinおよびCephalosporin類の挙動について
    清水 辰典
    1978 年 31 巻 2 号 p. 108-114
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    炎症性および非炎症性を問わず, 胸水の貯留をともなう疾患に遭遇する機会は珍らしくない。これらの症例の多くは, 化学療法剤の投与の適応であるが, 非経口的に化学療法剤を投与したさいの胸水中濃度を, 実際に測定した報告は少ない。
    筆者は現在まで, 主として胸腔内に直接薬剤を投与したさいの全身的な吸収性について検討を加えてきたが1, 2), 今回は薬剤を筋注し, 胸水中への抗生物質の移行について基礎的および臨床的検討を加えたので報告する。
  • 1978 年 31 巻 2 号 p. 115-125
    発行日: 1978/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
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