The Japanese Journal of Antibiotics
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小児におけるPC-904の臨床使用成績
南谷 幹夫八森 啓
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1978 年 31 巻 7 号 p. 383-388

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抄録

PC-904は住友化学工業株式会社によつて新らしく合成された注射用ペニシリンで, その構造はAmpicillinのAmino基に4-Hydroxy-3-carboxyl-1, 5-naphthyridineを導入している。
抗菌力は, 緑膿菌をはじめ多くのグラム陰性菌に強く作用し, グラム陽性菌にもCarbonicillin (CBPC) と同程度以上の抗菌力がみとめられている。しかし, Ponicillinaseに抵抗力なく, in vitroの抗菌力は接種菌量に影響されるという。本剤の特徴として, 胆道系によく移行することがあげられるが, 胆汁中に出たPC-904は, 腸管内でβ-Lactam環が開かれて速やかに不活化される。
また, ヒト血清蛋白との結合は, 90%以上と高率であり, その結合は可逆的である。安全性は, 他のペニシリンと同程度の成績が得られている。以上の結果から, 第1相, 第2相試験が完了し, 成人に対する基礎的検討, 臨床的治験がまとめられ, 第25回日本化学療法学会総会で発表され, 有効率は, 内科系63.6%, 外科系72.4%, 副作用出現率16.6%が得られた。
今回, 小児科領域で本剤を治験する機会を与えられたので, 各種疾患に対する治療成績を発表する。

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