The Japanese Journal of Antibiotics
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小児期細菌性感染症に対するPC-904の使用経験
堀 誠河野 三郎橋本 文久黒須 義宇豊永 義清
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1978 年 31 巻 7 号 p. 389-394

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抄録

PC-904は, AmpicillinのAmino基に4-Hydroxy-3-carboxy1-1, 5-napllthyridineを導入した新らしい合成ペニシリンである。本剤の抗菌力は, 緑膿菌をはじめとする多くのグラム陰性菌に有効であるとともに, グラム陽性菌に対してもCarbenicillin (CBPC) と同程度, またはそれ以上の効力を示すが, Penicillinaseに抵抗力がなく, そのin vitroの抗菌力は, 接種菌量の影響をうけ, 抗菌作用では殺菌作用が比較的弱いのが特徴といわれるまた。本剤は肝臓への移行がよいので, 胆汁中に高濃度に排泄され, ヒトのばあい, 尿中への排泄は25~30%といわれる。胆汁内の薬剤は, 腸管内でβ-Lactam環が開かれて不活化され, その物質の腸管からの再吸収はほとんどみとめられず, ヒト血清蛋白との結合率は98%であり, その結合は可逆的であるという1)。
このような性質をもつことから, 本剤の対象疾患が主として緑膿菌をはじめとしてグラム陰性菌感染症にあると思われ, 私たちも小児のグラム陰性菌感染症を主とする疾患に使用する機会を得, 同時に本剤投与後の血中濃度の推移について多少の成績をみたので, その経験を報告する。

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