抄録
最近, 日本化薬株式会社で開発されたNK 631は, ブレオマイシン酸のカルボン酸とN-(3-アミノプロピル)-d-フェネチルアミンの1級アミノ基を脱水縮合した構造をもつBleomycinの誘導体である。 このNK 631は, 従来のBleomycmとほぼ同等の抗腫瘍活性をもつているが, 総じて毒性が1/2~1/3に低下し, 肺線維化作用も軽度であると報告されている1) 。今回われわれは, NK 631を頭頸部悪性腫瘍患者の治療に用いる機会を得たので, この薬剤の治療効果にっき概要を報告する。