1979 年 32 巻 1 号 p. 138-148
ブレオマイシンは, 1966年, 梅沢ら1) によつて開発された抗腫瘍性抗生物質で, 扁平上皮癌に特具的な効果を示し, 現在では悪性リンパ腫2, 3) などの治療にも, 単独または他の療法との併用によつて有効であることが明らかにされている。
最近, われわれは, ブレオマイシン酸とN-(3-アミノプロピル)-α-フェネチルアミンの1級アミノ基を脱水縮合したブレオマイシン誘導体の硫酸塩であるPepleomycin sulfate (以下NK 631と略す) を, 口腔領域悪性腫瘍新鮮症例10例に対して使用する機会を得たので, その概要を報告する。