1979 年 32 巻 1 号 p. 129-137
1965年, 梅沢ら1) によつて開発されたブレオマイシンは, 扁平上皮癌に特異的な効果を示すことから, 従来から, 口腔癌の治療に繁用されてきた。 しかし, 効果を得る反面, 一方では, 副作用の1つとして肺の線維化がしばしば問題とされてきた2)。 このたび, ブレオマイシンの誘導体で, 基礎実験において, ブレオマィシンとほぼ同程度の抗腫瘍性をもち, 肺線維症の発症は約1/3程度といわれているNK 631が開発され3), 臨床試用の機会を得たのでその概要を報告する。