The Japanese Journal of Antibiotics
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CS-1170の小児科領域における検1討
岩井 直一佐々木 明二村 淳子宮津 光伸大須賀 民子
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1979 年 32 巻 2 号 p. 205-220

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抄録

合成ペニシリン剤, セファロスポリン剤の使用が増加し, それに伴なつてβ-L actamase (Cephalosporinase) 産生菌も出現し, 増加の傾向にある。今後, これらの細菌による感染症が増加してくることは, 当然考えられることである。現在我々がもちあわせでいる抗生剤だけでは, 治療上支障をきたすことが予想される。そのためにも, セファロスポリン系薬剤にβ-L actamaseresistantを示す性質を附与した薬剤の出現が当然望まれるところである。
CS-1170は, 三共研究所で新らしく合成されたCephamycin系の抗生剤である。本剤はβ-Lactamaseに対する抵抗性が強く, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に幅広く抗菌力をもち, 従来のセファロスポリン系およびペニシリン系抗生物質が無効であつたインドール陽性ProteusSerratiaなどにも抗菌力をもつものである。また, 静注によつて高い血中濃度が得られ, 代謝されることなく, 活性型のまま尿中へ速やかに排泄される。蛋白結合はCefazolin (CEZ) よりやや低く, 動物実験における腎毒性は, Cephaloridine (CER), CEZより少ないと考えられている1)。
我々は, こういつた特徴をもつCS-1170を小児科領域の細菌感染症に使用したので, その臨床成績を報告する。また, 小児における本剤の吸収, 排泄についても若干検討したのであわせて報告する。

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