The Japanese Journal of Antibiotics
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小児科領域におけるCS-1170の基礎的ならびに臨床的検討
西村 忠史小谷 泰高島 俊夫広松 憲二
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1979 年 32 巻 2 号 p. 221-226

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抄録

今日, 細菌感染症に対して抗生物質の開発, 発達は, めざましいものがある。一方, その使用頻度の増加も著るしく, とりわけセファロスポリン系薬剤の日常診療における使用は, 増加の一途にある。しかし, Cephalosporinase産生菌の増加が指摘されており, 今後セファロスポリン耐性菌に対する治療上の種々の問題が生じてくることが充分予想される。
今度, 三共株式会社において開発されたCS-11701) は, Cephamycin系に属する抗生物質で, グラム陽性およびグラム陰性菌に優れた抗菌力を示し, とくにβ-Lactamase産生菌に対しても強い抗菌力をもつといわれる。そして, 従来のセファロスポリン系, ペニシリン系薬剤が無効なIndole陽性Proteus, serratiaにも強い抗菌力を示すことが明らかにされている2)。
本剤の排泄は, 生体内で代謝をうけず, 活性型のまま尿中に排泄され, 毒性面では一般毒性はきわめて弱く, 腎毒性もCephalothin (CET), Cefazolin (CEZ) より少ないといわれる。このような本剤の特色からも, CS-1170に対する治療効果の期待は大きいと考えられる。
そこで, 今回著者らは, 本剤の小児科領域においてPharmacokineticsおよび臨床検討をおこなったので, その成績について述べる。

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