The Japanese Journal of Antibiotics
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32 巻, 2 号
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  • 第1報ラットおよびウサギの胎仔器官形成期投与試験
    小枝 武美, 森口 政英
    1979 年 32 巻 2 号 p. 155-163
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fosfomycinは, Streptomyces wedmorensisおよびS. fradiaeなどの放線菌によつて産生される新規抗生物質である1~3)。
    本物質は, エポキシ環をもつきわめてユニークな化学構造をもち, 細菌細胞壁合成の初期過程を阻害し, グラム陰性菌および陽性菌等に有効な, 広域スペクトルをもつ抗生物質で, 他剤との交叉耐性はなく, 特にグラム陰性菌感染症に卓越した効果をもつ物質である4~10)。本剤の安全性については, 小枝ら11, 12, 13)によつて急性, 亜急性および慢性毒性試験の結果がすでに報告されている。
    今回, 我々は, 本剤のナトリウム塩を妊娠したラットおよびウサギの胎仔器官形成期に投与し, 胎仔および新生仔の発育に及ぼす影響を検討したので報告する。
  • 第2報ラットの妊娠前および妊娠初期投与試験
    小枝 武美, 森口 政英
    1979 年 32 巻 2 号 p. 164-170
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fosfomycinは, Streptomyces wedmorensisおよびS. fradiaeなどの放線菌によつて産生される新規抗生物質である1~3)。本物質は, エポキシ環をもつきわめてユニークな化学構造をもち, 細菌細胞壁合成の初期過程を阻害し, グラム陰性菌および陽性菌等に有効な広域スペクトルをもつ抗生物質で, 他剤との交叉耐性はなく, 特にグラム陰性菌感染症に卓越した効果を示すものである4~10)。
    本剤の安全性については, 小枝ら11~18) によつて一般毒性学的検討がなされ, またラットおよびウナギの胎仔器官形成期に投与して, その奇形学的安全性についてもすでに報告した14)。
    今回, 我々は, 本剤を交配前の雌雄および妊娠初期のラットに腹腔内投与し, 生殖能力および胎仔におよぼす影響について検討したので, その結果を報告する。
  • 第3報ラットの周産期および授乳期投与試験
    小枝 武美, 森口 政英
    1979 年 32 巻 2 号 p. 171-179
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fosfomycinは, Streptomyces wedmorensisおよびS. fradiaeなどの放線菌により産生される新規抗生物質である1~3)。本物質は, エポキシ環をもつきわめてユニークな化学構造をもち, 細菌細胞壁合成の初期過程を阻害し, グラム陰性菌および陽性菌等に有効な, 広域スペクトルをもつ抗生物質で, 他剤との交叉耐性はなく, 特にグラム陰性菌感染症に卓越した効果を示す物質である4~10)。
    本剤の安全性については, 小枝ら11~13) によつて急性, 亜急性および慢性毒性試験がおこなわれた。著者らは, 本剤の生殖試験のうち, 妊娠前および妊娠初期投与試験と胎仔器官形成期投与試験について, ラットあるいはウサギを用いて検討し, 報告した14~15) 。
    今回は, ラットの周産期および授乳期に投与し, 仔 (F1) の発育分化, 行動および次世代 (F2) への影響について検討したので, その結果を報告する。
  • 小枝 武美, 柴田 右一, 浅岡 宏康, 八巻 芳夫, 井沢 正典
    1979 年 32 巻 2 号 p. 180-190
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Fosfomycinは, Streptomyces wedmorensiおよびS. fradiaeなどの放線菌によつて産生される新規抗生物質である1~3)。本物質は, Fig.1に示すようなエポキシ環をもつきわめてユニークな化学構造で4~7), グラム陽性および陰性菌に対して広い抗菌スペクトルをもち, 他剤との交叉耐性はなく, グラム陰性感染症に卓越した効果をみとめ, その作用機構として細胞壁合成の初期過程を阻害することが知られている8~14)。本物質のカルシウム塩は, 経口製剤として, またナトリウム塩は注射用製剤として開発されている。
    今回, ナトリウム塩 (Fosfbmycin-Na塩, 以下FOM-Na) について, 2, 3の一般薬理学的検討をおこなったので, その成績を報告する。
  • 島田 馨, 稲松 孝思, 佐藤 京子
    1979 年 32 巻 2 号 p. 191-194
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    嫌気性菌感染症の治療上の問題の1つに,Bacteroides fragilisに対する薬剤選択がある。従来から Clindamycin (CLDM) の抗菌力が最も優れていて, 第1選択剤とされていたが, 最近ではCLDM耐性B. fragilis出現の報告があり5), またとくに高齢者においては, 副作用の点で難がないとはいえない。
    今回, 臨床分離のB. fragilis, B. thetaiotaomicron, B. vulgatusに対する11の抗菌剤の抗菌活性を測定し, このなかの1つのMetronidazole (Flagyl) をB. fragilis敗血症に使用したので, その成績を報告する。
  • 本廣 孝, 阪田 保隆, 西山 亨, 石本 耕治, 富永 薫, 山下 文雄
    1979 年 32 巻 2 号 p. 195-204
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Cephalosporin 系薬剤は, 注射剤としてCephalothin (CET), Cephaloridine (CER), Cefazolin (CEZ), Ccftezol (CTZ), 内服薬としてCephaloglycin (CEG), Cephalexin (CEX), Cephradine (CED) が市販されており, これらの中では, グラム陽性球菌にはCER, グラム陰性桿菌にはCEZがもつとも抗菌力が強い。しかし, いずれの薬剤にも耐性菌があり, より優れた薬剤の出現が望まれていたところ, E.coli, Shigalla, Salmonella, Klebsiella, Indole陽性Proteus, CitrobacterおよびSerratiaなどのグラム陰性桿菌に従来の Cephalosporin系薬剤より強い抗菌力をもつ, Fig.1のような構造式をもつCephamycin系のCS-11701)が三共株式会社で開発された。本剤はin vfvoで代謝をうけず, 腎毒性はCET程度で, 一般毒性はきわめて弱い2)といわれており, 1977年の第25回日本化学療法学会西日本支部総会の新薬シンポジウム3)でその有用性が論じられた (Fig.1) 。
    私たちは, 本剤を小児に投与し, その血中濃度, 回収率を測定し, 種々の感染症に使用して臨床効果および副作用を検討したので, その成績を報告する。
  • 岩井 直一, 佐々木 明, 二村 淳子, 宮津 光伸, 大須賀 民子
    1979 年 32 巻 2 号 p. 205-220
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    合成ペニシリン剤, セファロスポリン剤の使用が増加し, それに伴なつてβ-L actamase (Cephalosporinase) 産生菌も出現し, 増加の傾向にある。今後, これらの細菌による感染症が増加してくることは, 当然考えられることである。現在我々がもちあわせでいる抗生剤だけでは, 治療上支障をきたすことが予想される。そのためにも, セファロスポリン系薬剤にβ-L actamaseresistantを示す性質を附与した薬剤の出現が当然望まれるところである。
    CS-1170は, 三共研究所で新らしく合成されたCephamycin系の抗生剤である。本剤はβ-Lactamaseに対する抵抗性が強く, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に幅広く抗菌力をもち, 従来のセファロスポリン系およびペニシリン系抗生物質が無効であつたインドール陽性ProteusSerratiaなどにも抗菌力をもつものである。また, 静注によつて高い血中濃度が得られ, 代謝されることなく, 活性型のまま尿中へ速やかに排泄される。蛋白結合はCefazolin (CEZ) よりやや低く, 動物実験における腎毒性は, Cephaloridine (CER), CEZより少ないと考えられている1)。
    我々は, こういつた特徴をもつCS-1170を小児科領域の細菌感染症に使用したので, その臨床成績を報告する。また, 小児における本剤の吸収, 排泄についても若干検討したのであわせて報告する。
  • 西村 忠史, 小谷 泰, 高島 俊夫, 広松 憲二
    1979 年 32 巻 2 号 p. 221-226
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    今日, 細菌感染症に対して抗生物質の開発, 発達は, めざましいものがある。一方, その使用頻度の増加も著るしく, とりわけセファロスポリン系薬剤の日常診療における使用は, 増加の一途にある。しかし, Cephalosporinase産生菌の増加が指摘されており, 今後セファロスポリン耐性菌に対する治療上の種々の問題が生じてくることが充分予想される。
    今度, 三共株式会社において開発されたCS-11701) は, Cephamycin系に属する抗生物質で, グラム陽性およびグラム陰性菌に優れた抗菌力を示し, とくにβ-Lactamase産生菌に対しても強い抗菌力をもつといわれる。そして, 従来のセファロスポリン系, ペニシリン系薬剤が無効なIndole陽性Proteus, serratiaにも強い抗菌力を示すことが明らかにされている2)。
    本剤の排泄は, 生体内で代謝をうけず, 活性型のまま尿中に排泄され, 毒性面では一般毒性はきわめて弱く, 腎毒性もCephalothin (CET), Cefazolin (CEZ) より少ないといわれる。このような本剤の特色からも, CS-1170に対する治療効果の期待は大きいと考えられる。
    そこで, 今回著者らは, 本剤の小児科領域においてPharmacokineticsおよび臨床検討をおこなったので, その成績について述べる。
  • 中沢 進, 佐藤 肇, 新納 憲司, 中沢 進一, 平間 裕一, 成田 章, 近岡 秀次郎, 岡 秀
    1979 年 32 巻 2 号 p. 227-237
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    CS-1170 (Fig.1) は, 三共株式会社で開発されたCephamycin系, 新抗生剤であり, β-Lactamase産生菌に対しても強い抗菌性をもち, 従来のCephalosporin系製剤に比較して, グラム陰性菌, 特にペニシリン系製剤の無効なIndole陽性Proteus, Serratiaにも強い抗菌性を発揮する点が特徴とされている。
    本剤は静注, 筋注として使用され, 注射後体内で代謝をうけずに血中, 尿中, 諸臓器中に移行するがわ, 毒性はきめて低く, Cephalosporin耐性菌に対して有効な面も注目されている。
    本剤を使用しての成人各科領域における成績については, 昭和52年12月, 第25回日本化学療法学会西日本支部総会で報告された。今回, 本剤の静注を主体とした小児感染症に対する一連の検討をおこなつてみたので, 以下, 今日までの概況について報告する。
  • 永松 一明, 浜田 勇
    1979 年 32 巻 2 号 p. 238-240
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Streptomycesから単離されたCephamycin Cは, セファロスポラン酸の7位にメトキシ基をもつ点で従来のセファロスポリンCとは異なる抗生物質であり, β-Lactamaseに対して強い抵抗性をもつている。この Cophamycin誘導体の中から開発されたCS-1170は, β-Lactamaseに対する抵抗力が強く, β-Lactamase産生菌に対しても強い抗菌力を示し, グラム陽性菌およびグラム陰性菌にも優れた抗菌力をもち, さらにセファロスポリン系およびペニシリン系抗生物質が無効であるインドール陽性のProteus, Serratiaにも強い抗菌力があり, 嫌気性菌, とくにBacteroides fragilisにも有効といわれている。
    このような特長をもっCS-1170は, 静注されると, 代謝されずに活性型のまま尿中に速やかに排泄され, 一般毒性は少なく, 腎毒性もセファロリジン, セファゾリンより少ないといわれている。
    我々は, CS-1170を使用する機会をえたので, 小児感染症に対する治療効果を検討した。
  • 南谷 幹夫, 八森 啓, 友利 典子
    1979 年 32 巻 2 号 p. 241-246
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    CS-1170は, 三共株式会社の研究所で開発されたCephamycin系に属する新規抗生物質で, 従来のCephalosporin系とは異なり母核の7位にメトキシ基をもつことから, 強いβ-Lactamase抵抗性炉ある。
    本剤の特長的作用をあげると, 耐性大腸菌を含むβ-Lactamase産生菌に対しても強い抗菌力があり, グラム陽性および陰性菌に対し優れた抗菌力を示すだけでなく, 従来のCephalosporin系やPenicillin系抗生物質が無効 なIndole陽性Proteus, Serratiaなどにも強い抗菌力をもち,Bacteroides fragilisにも有効である。また, 筋注, 静注によつて高い血中濃度が得られ, 活性型のまま尿中に速やかに排泄されるばかりでなく, 一般毒性はきわめて弱く, 腎毒性もCephaloridine (CER), Cefazolin (CEZ) より少ないことが知られている。以上の点からみて, 現在, 次第に増加しつつあるグラム陰性桿菌, 殊にβ-Lactamase産生菌感染症に対して, 本剤の治療効果は期待されるところが大きいと思われる。
    本剤はFig.1のような構造をもち, 分子式はC15H16N7O5S3Naである。
    本剤の臨床的研究は1976年に始まり, 成人に対する基礎的, 臨床的成績が積み重ねられて, 第25回日本化学療法学会西日本支部総会で発表1)された。小児科領域における検討は, 1977年5月に始められ, われわれも本剤を臨床的に使用する機会を得たので, その成績を報告する。
  • 沢井 稔, 藤井 良知
    1979 年 32 巻 2 号 p. 247-252
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    CS-1170は, 三共株式会社中央研究所で研究が進められてきた新抗生物質1) で, 構造式はFig.1に示したとおり, セファロスポラン酸の7位にメトキシ基をもっCephamycin系で, 従来のCephalosporinと同様に広くグラム陽性・陰性菌群に抗菌スペクトルを示すばかりでなく, 異なる特性をもっ, Cefoxitinと類似の新規抗生物質である。本剤の特長は, β-Lactamaseに対する抵抗性が強いため, 大腸菌を含むβ-Lactamase産生菌にも強い抗菌力をもち, 従来のCephalosporin系およびPonicillin系抗生物質が無効であつたIndole陽性ProteusおよびSerratiaなどにも強い抗菌力をもつことにある。また, 臨床では, 筋・静注によつて高い血中濃度が得られ, 一般毒性もきわめて弱いことが特長である。成人領域の臨床検討は, すでにおこなわれて9), その有効性が確認されており, 小児科の吸収, 排泄も研究会において明らかにされた。
    今回, 我々は種々の小児急性感染症に対する本剤の臨床的検討をおこなつたので, ここに報告する。
  • 山本 悦秀, 砂川 元, 小浜 源郁
    1979 年 32 巻 2 号 p. 253-258
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1968年Bleomycin (BLM) が陰茎癌に著効を示すことが報告され1), 口腔癌領域においても臨床応用がされてきた。応用初期には, BLM単独療法で腫瘍が消失した例も報告され, 扁平上皮癌に対するその有用性は広く知られるところとなつた。しかし, 一方では著効を期待するあまり, 多量に投与され, 重篤な肺の副作用を惹起した苦い経験もまた決して少なくない。加えて, これらの副作用ばかりでなく, 予後の向上を期す目的で最近では手術, 放射線に一定量 (150mg前後) をうまくCombinationさせる方向に進んできつつある。
    我々も比較的早くこの事実に基づき, 口腔癌の治療方針として術前化学療法→手術→術後免疫賦活療法という手術を中心とした一貫した治療法を採用している3, 4)。そのうち, 術前化学療法としては, BLMを1回15mg, 計90~120mgを静注している。
    今回我々は, 術前化学療法にBLMの新誘導体NK 631 (Pepleomycin) を使用する機会を得たので, 結果について以下に述べる。
  • 大橋 靖, 阿部 正樹, 斎藤 憲, 水谷 英守, 大西 真, 上田 昇
    1979 年 32 巻 2 号 p. 259-264
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ブレオマイシン (以下BLMと略す) は, 1966年, 梅沢らによつて発見され1), 扁平上皮癌や悪性リンパ腫に有効な抗腫瘍剤として広く一般に使用されてきている2)。しかし, 副作用として肺線維症の発症が知られており, 時に致命的な結果を招くことから, 薬剤の改良がはかられ, 一方では投与法の検討がおこなわれてきた。
    口腔癌は, その大多数が扁平上皮癌であることから, BLM臨床応用の初期から, 多くの治験例が積み重ねられてきており, その有用性について多数の報告がみられる。しかし, 前述したような重篤な副作用をともなうことから, より安全な薬剤の開発が望まれていた3) 。
    NK631は, BLM酸のカルボン酸とN-(3-アミノプロピル)-α-フェネチルアミンの1級アミノ基を脱水縮合したFig.1の構造をもっBLM誘導体の硫酸塩である。構造式に示されるように, NK631はBLM類に共通な3個の塩基性基 (pka7.3, 4.7, 2.7) のほか, 側鎖に1個の塩基性基をもつ。銅をキレートして青色を呈し, 紫外部吸収は292nmおよび243nmに極大を示すが, 銅をキレートしていない状態では243nmにおける吸収は極大でなく, 肩を示す。この点は一般のBLM類と同様である。結晶化せず, 無色無定型粉末として得られる4)。
  • 三浦 健, 片山 憲侍, 和田 達雄
    1979 年 32 巻 2 号 p. 265-277
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    1965年梅沢らによつて開発されたBloomycinは, 扁平上皮癌と悪性リンパ腫に特異的な効果を示す抗癌剤として, 我が国を始め広く欧米でも使用され, すぐれた臨床効果をあげていることは周知のとおりである。しかし, Bleomycinのもつ副作用の1つとして肺線維症の発生があり, その対策が問題とされていた。
    その後, Bleomycinの構造式が解明されるにつれて, BleomycinのAnalogueが約300種も半合成され, その中からいくつかのものが, より副作用が少なく, より有効な抗癌剤として試験されてきた。
    最近, 新らしいBleomycinの誘導体であるNK 631 (以下Pepleomycinとする) が開発され, 基礎的実験において抗腫瘍性は, 従来のBleomycinとほぼ同等またはやや強く, しかもPepleomycin投与後の組織内濃度, 特に胃組織内の濃度は有意に高く, 実験的に作成されたラット胃癌にも有効であることが明らかになつた。また, 毒性面では, 全身性の毒性はBleomycinにくらべ, やや強い傾向がみられたが, マウスの肺線維症の発生は約1/3以下と報告1) された。
    以上の基礎実験データに基づいて, 我々は1976年10月から1978年9月にわたつて23例の各種進行癌にこのPepleomycinを投与し, Phase I & II studyをおこなつたので報告する。
  • 関 利仁, 島田 真路, 大原 国章
    1979 年 32 巻 2 号 p. 278-281
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    従来から扁平上皮癌に対するBleomycinの効果については, 市川ら1) の陰茎癌に対する報告を始めとし, 数多くの報告があり, その効果については, 諸医家の評価を得ている。しかし, 肺に対する副作用の問題もあり, より有効なBleomycinの出現が待たれていた。今回我々は, ブレオマイシン酸のカルボン酸とN-(3-アミノプロピル)-α-フ呂ネチルアミンの1級アミノ基を脱水縮合したブレオマイシン誘導体の硫酸塩であるNK 631 (Pepleomycin)(Fig.1) を皮膚悪性腫瘍に単独投与し, 良好な結果を得たので報告する。
  • 中西 孝一, 三木 高憲, 足立 邦彦, 寺延 治, 島田 桂吉
    1979 年 32 巻 2 号 p. 282-290
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    Bleomycin (以下BLM) は, 扇平上皮癌に選択的に抗腫瘍性を示すが, 毒性は骨髄抑制が軽度である反面, 肺線維症を生ずることがある。この肺線維化等の毒性の軽減と扁平上皮以外の悪性腫瘍にも有効なBLM誘導体が開発されつつあるが1), 今回我々は, BLM酸のカルボン酸とN-(3-アミノプロピル)-α-フェネチルアミンの1級アミノ基を脱水縮合した構造をもつBLM誘導体のNK631を, 8例と少数例ではあるが, 頭頸部悪性腫瘍に臨床使用する機会を得たので, 報告する。
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