1979 年 32 巻 2 号 p. 282-290
Bleomycin (以下BLM) は, 扇平上皮癌に選択的に抗腫瘍性を示すが, 毒性は骨髄抑制が軽度である反面, 肺線維症を生ずることがある。この肺線維化等の毒性の軽減と扁平上皮以外の悪性腫瘍にも有効なBLM誘導体が開発されつつあるが1), 今回我々は, BLM酸のカルボン酸とN-(3-アミノプロピル)-α-フェネチルアミンの1級アミノ基を脱水縮合した構造をもつBLM誘導体のNK631を, 8例と少数例ではあるが, 頭頸部悪性腫瘍に臨床使用する機会を得たので, 報告する。