The Japanese Journal of Antibiotics
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Schizophyllanの免疫強化活性と抗胸腺グロブリンの相互作用
鈴木 宗司小松 信彦野村 進
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1979 年 32 巻 3 号 p. 369-374

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抄録

Schizophyllan (SPG) は, 担子菌Sohizophyllum commune (スエヒロタケ) の菌糸体を液体培地で深部培養して得られる粘性の高い多糖で, その化学構造はβ-1, 3結合を主鎖とし, β-1, 6結合の側鎖をもつ単純グルカンである。SPG-Sは, 超音波処理によつてSPGを低分子化したもので, 原SPGより粘度がはるかに低下し, 水溶性も高くなつでいる。SPGは最初, 小松ら1) によつてマウスのSarcolpa 37やSarcoma 180に対して宿主媒介抗腫瘍作用のあることが発見されたが, 著者らは, 正常マウスにおける免疫応答におよぼすSPG-Sの影響について検討してきた。体液性免疫グロブリン産生能に与える影響については, ヒツジ赤血球を抗原とするCUNNINGHAM法によつて検討し, SPG-Sが体液性免疫能を増強することを示した2)。また, 細胞性免疫応答については, 塩化ピクリルを抗原とした遅延型皮膚反応を測定し, SPG-Sが細胞性免疫能をも増強することを証明した3)。
今回は, マウス胸腺細胞でウサギを免疫して得た抗胸腺グロブリンをマウスに投与し, SPG-Sの作用が胸腺由来リンパ球依存性であるかどうかについて, CUNNINGHAM法および塩化ピクリルによる遅延型皮膚反応を用いて検討した成績について報告する。

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