The Japanese Journal of Antibiotics
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Cefmetazoleの臨床的研究
特に胆道系疾患について
葛西 洋一中西 昌美沢田 康夫中村 孝橋本 伊久雄三上 二郎佐橋 佳郎
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1979 年 32 巻 5 号 p. 606-611

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抄録
最近, 腹部一般外科においても, 胆のう炎, 胆石症等の胆道系疾患を扱うことが多くなり, 特に急性胆のう炎患者が救急で運ばれてくることも, 稀ではなくなつた。これらの患者は, 急性腹症あるいは胆のう炎等として, 治療, 軽快, 再発をくりかえして, 抗生剤による治療を長期間おこなつていることがかなり多い。したがつて, 各種の抗生剤歩すでにかなり長期間, しかも不充分な使用量を使用され, 入院の上, 化学療法をおこなつても, すでに種々の抗生剤に耐性をもつでいる起炎菌のために, 内科的治療だけでは効果をあげ得ないことも, 日常たびたび経験するところである。
特に最近では, 広く用いられている合成Penicillin剤, あるいはCephalosporin剤にも耐性をもつβ-Lactamase産生菌の存在が指摘され, これは術後の感染においても, 治療上の大きな問題となつてきた。
これらの耐性菌に対して有効な抗β-Lactamase性をもつ抗生剤の開発が望まれるところである1)。
我々は最近, β-Lactamaseに抵抗性をもつ新Cephamycin系抗生剤, Ceftnetazoleの試用をおこなう機会を得た。
今回, 急性または亜急性の胆道系炎症性疾患に対して, Cefmetazoleを使用し, 急性症状の軽快後に手術をおこない, この術中にCefmetazoleを静注し, 血中濃度, A, B胆汁濃度, 胆のう壁内濃度の測定を施行した。この測定ができた患者は6例であつた。そこで, この6例についてCeflnetazoleの臨床効果と組織内濃度の関係を検索して, 興味ある所見を得たので報告する。
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