The Japanese Journal of Antibiotics
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小児におけるCefazolin静脈内投与時の血清内濃度に関する研究
第2編成熟児, 未熟児における血清内濃度の特異性について
豊永 義清
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1979 年 32 巻 8 号 p. 786-794

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抄録

合成セファロスポリンC系薬剤が, 今日小児科領域感染症の治療において, その主流を占めている。 それはセファロスポリンC系薬剤が, 広い抗菌力をもつこと, 中でも小児期に多いブドウ球菌感染症にも効果があり, その腎毒性の少ないことと相まつて広く使用されている。 著者は, 第1編において, セファロスポリンC系抗生物質, Cefazolin (CEZ) の学童, 幼児, 乳児におけるOne shot静注, そして1時間点滴静注の薬動力学的解析をおこない, 投与量, 投与回数, 投与法の検討をおこなった。
今回は, 生理学的特徴からも, 当然乳児期以降の小児とは異なった配慮が必要と思われる新生児, 未熟児について検討した。
新生児, 未熟児の化学療法の特異性に関しては, 1959年第7回全米抗生物質会議のパネルディスカッションで始めて取め上げられ, 我国でも1963年日本化学療法学会母子化学療法研究会で, 新生児, 未熟児期の抗生物質の安全性に関するRecommendationが, Pharmacokineticsを通じ, 活発に種々の薬剤しておこなわれている。 新生児, 未熟児に対する抗生物質の非経口投与は, 解毒排泄機構の未熟, 投与方法の困難性等, 様々な制約があり, その安全で適性な投与方法の確立が必要である。 そのため, 著者は新生児, 未熟児においては, 生理的変動の著明である生後1週間に注目し, 2者ともに生後3日以内, 4~7日, の例と比較して検討した。
なお, 今回の成熟児, 未熟児についての成績の一部は, 日本化学療法学会母子化学療法研究会 (班長, 藤井良知教授) のCEZ研究班の1員として提出した成績も一部含まれている。

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