1979 年 32 巻 9 号 p. 930-937
現在, セファロスポリン系抗生物質の注射剤としてCephalothin, Cephaloridine, Cefazolin (CEZ), Cefapirin, CeftezoleおよびCephacetrileが市販されているが, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisをのぞく腸内の種々のグラム陰性桿菌には抗菌力が弱いことから, より優れた薬剤の出現が期待されていた。
米国Eli Lilly社で開発されたCefamandole (CMD) は, Fig.1のような化学構造をもっ薬剤1) で, E.coliおよびK.pneumoniaeに対してはCEZよりもやや優れた抗菌力を示し, Proteus vulgarisをのぞく各Proteus, EnterobacterおよびCitrobacterに強い抗菌力2) があり, Haemophilus influenzaeに対してもAmpicillinに類似した抗菌力をもっ3) といわれている。
そこで私たちは, 小児の血中・尿中濃度および回収率を測定し, 各種細菌感染症および細菌感染が疑われた患児に本剤を使用し, 臨床効果および副作用を検討したので, その成績を報告する。