1980 年 33 巻 4 号 p. 472-477
最近, 多くの新らしい抗生物質が開発され, その胆道への排泄状態の観察から, 胆道感染に対する効果が推定されている。また, 閉塞性黄疸のさい, 胆道への抗生物質の排泄がほとんどなくなるが, 外胆汁痕を造ると抗生物質の排泄も良好となることが報告されている。このような観察にあたつては, 胆汁中の抗生物質の濃度の測定が必要となるが, 抗生物質を含有する胆汁の, 採取から測定までの保存についての研究は少なく, また, その結果も一定でない。
われわれは, 抗生物質の胆汁中排泄を測定するにさき立つて, in vitroにおける胆嚢および胆管胆汁中での抗生物質力価の変動を観察し, その原因について考察を加えた。