The Japanese Journal of Antibiotics
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Amikacin点滴静注による血中濃度の検討
沢江 義郎滝井 昌英
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1980 年 33 巻 4 号 p. 539-548

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抄録

Amikacinは, すでにひろく使用されているアミノ配糖体系抗生物質の1っであり, 黄色ブドウ球菌や腸内細菌, 緑膿菌をはじあとする各種菌種に有効なKanamycin Aから誘導された抗生物質である1)。とくに, GentamicinやDibekacin, Tobramycinなどとの交叉耐性が少ないのが特徴とされている2~4)。
しかし, これらアミノ配糖体系抗生物質に共通した弱点として, 聴力障害や腎障害をきたしやすく, これらの投与法としては, 筋肉内注射 (筋注) だけがこれまでおこなわれている。ところが, これらの薬剤を必要とする多剤耐性のグラム陰性桿菌による重症感染症例の多くは, 白血病や末期癌の患者であり, 出血傾向や, るいそうなどのため, 投与法は静脈内注射 (点滴静注) によらざるを得ないことがしばしばである。
そこで, 健康成人についてAmikacin1筋注時と2, 3の条件の異なつた点滴静注時の血中濃度および尿中排泄量をCrossoverで測定し, 筋注時の成績と比較することによつて, Amikacil1の点滴静注法による投与の可能性について検討した。また, これらの成績の薬動力学的解析を試みたので, 併せて報告する。さらに腎不全患者に投与した時の血中濃度の成績を追加する。

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