The Japanese Journal of Antibiotics
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胆道感染症におけるPivmecillinamの有効性
特にABPCとの比較について
見永 武芳安見 正仁米田 誠一前田 正明木村 泉中村 喜久生木津 明伊地知 浜夫日野 良俊沢田 克徳吉川 治雄三宅 正雄望月 茂細田 光蔵
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1981 年 34 巻 1 号 p. 102-107

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抄録

グラム陰性桿菌に特異的に強い抗菌力を示すMecillinam 1~3) は, 経口投与時には吸収され難いので4), この欠点を取り除く目的から, 3位カルボン酸のPivaloyloxymethylester, すなわちPivmecillinam (メリシン: 武田薬品) が開発された。
Pivmecillinam自体には抗菌力は無いが, 小腸から門脈を介して吸収され, 腸管壁内の非特異的エステラーゼによつて, 加水分解を受けMecillinamとなり, 抗菌力を発揮することが知られ5), Pivmecillinam投与後のMecil-linamの血中濃度は投与後30分~1時間で速かにピークに達し, 4~6時間後には, ほぼ完全に消失すると報告されている6)。Mecillinamの臓器分布では, 肝, 腎に高値を示すことからも示唆されるように, その主要な排泄経路は胆道および尿路とされ7, 8), Pivmecillinamの尿路感染症における有効性は周知のところである。
近年, 臨床例におけるPivmecillinam経口投与時のMecillinamの胆汁内濃度は, 胆石症の手術後, 総胆管内に留置したT字管を介して実測した報告がみられ9), 実験動物における臓器分布を裏付けて, 人体でも胆汁内への高濃度排泄が確認されている。
他方, 胆道感染症においても, 従来のAmpicillin (ABPC), Amoxicillin (AMPC) 等に対する耐性菌の出現が近年注目され始めているのが現状である10, 11)。今回, 私共はPivmecillinamの胆道感染症に対する本剤の臨床効果を判定するため, ABPCと対比して検討した。ABPC投与の結果, 無効と臨床的に判定した14症例を対象として, 本剤の治療効果を検討したので報告する。

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